こんにちは、ドクダミ淑子です。
以前(もう半年以上経っている)にTwitterで募集した、読書感想文リクエスト企画。
メルカリでポイントがあって、今週中の買い物だと50%オフにもなるので、買って感想を書いてほしい本を教えてください!1000円程度のものだと嬉しいです。本日中にリプライいただいたものから、読んだことがない作家さんのもので、インスピレーションで選びます。相互フォローでない方でも大歓迎です💕
— ドクダミ淑子 (@dokudamiyoshiko) June 12, 2021
今まで、『女帝』、『彼女は頭が悪いから』と読んできました。
リプライをいただいた順で読んでいこうと思ったのですが、『彼女は~』を読んでから、「この流れで暗い、重い内容をもう少し読みたい」と思ったので、順番は考えないことにして、こちらを読んでみました。
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ちなみに、私が買ったのはソフトカバー版。
どんな内容なの?
公式サイトによると、こんな内容です。
不登校の男子高校生が久々の登校を目前にして自殺する事件が発生した。かねてから学校の責任を異常ともいえる執念で追及していた母親は、校長を殺人罪で刑事告訴する。弁護士、県会議員、マスコミも加わっての執拗な攻勢を前に、崩壊寸前まで追い込まれる高校側。だが教師たちは真実を求め、反撃に転じる。そして裁判で次々明らかになる驚愕の事実。恐怖の隣人を描いた戦慄のノンフィクション。
頭のおかしい人
タイトルでもわかるように、この話は、自殺した男子高生の母親が、どこからどう考えても、頭のおかしい人です。
それは、男子高生が自殺する前の2度の家出や、不登校になってしまった際の学校や教育委員会の対応などの数々のエピソードをつなぎ合わせると、見えてきます。
ちなみに、後半さらに彼女の異常さを際立たせるようなエピソードも出てきますが、前半でお腹いっぱいになるほど味わっているので、「もういらん、わかっているから・・・」となるくらいです。
とにかく執拗に、相手を責め立て怒鳴り散らし、書面での謝罪を要求し、関係各所に電話やメールやFAXなどで自分の主張を押し付けようとし、時にはマスコミに顔出し実名出しで自分の「被害」を涙ながらに語る・・・
実際の彼女に会ったことのない人が遠くから見れば、彼女は自殺した男子高生の母親ですから、「被害者」ですし、少々おかしい点があっても、「愛する息子が自殺してしまったんだから、気が動転しているのだろう」くらいで流されてしまいがちです。
そして、学校側が(校長のニヤリ顔というミスはあれど)「悪者」「加害者」に仕立て上げられてしまうのです。
ああ、怖い・・・
「被害者」の仮面をかぶった人をどう見抜くか
私がこの本を読んで考えていたのは、「被害者の仮面を被った人を、私たちはどう見抜けるのだろうか」ということです。
私が追いかけている、はあちゅうさんの誹謗中傷()裁判もこれで。
しっかり調べたら、「いやいや、それは妊活詐欺と言いたくなる内容やん!」「自らの言動が招いたことだぞ」と思うのですが、本人はそれを揉み消そうとしてかバンバンとメディアに出て、アパ社長並みに胸を張って堂々と「私が被害者です!」と自己紹介しちゃっているんですよ。
画像は下記のサイトから頂戴しました。
はあちゅうさんの主張・テレビの描くストーリーはこちらをご覧下さい。
『モンスターマザー』にも、滅茶苦茶な論法で校長を殺人罪で刑事告訴する人権派()弁護士が出てくるんですけど、その人を見ているとはあちゅうさんの弁護士を思い出します。
とにかく被害者の声だけを聞いて、被害者の描くストーリーに全乗っかりした上に、自分がさらに脚色したストーリーで訴状を書くところとか、裁判が劣勢になってきても苦しい言い訳で諦めずに粘ってくるところとか・・・挙げればきりがありません。
ただ、曲がりなりにも彼は「弁護士」で、「弁護士の先生の言うことだから」「マスコミはきちんと取材をした上で書いているはずだ」「遺族が涙ながらに語っているんだから」と言うのに、一般大衆はコロッと騙されてしまうのです。
私はこの事件を知りませんでしたが、リアルタイムで見ていたら、もしかしたら「ひどい学校があるものだ」と思ってしまうかもしれない。
「追いかける」ことの大切さよ
マスコミは、わかりやすい善vs悪のストーリーを描いた方が視聴者に刺さりやすいから、そう描きがち。
視聴者も、わかりやすい善vs悪のストーリーのほうがわかりやすいから、そう捉えて吸収しがち。
そして、その構図で「悪」にされた方が、「いやいや、私の方が被害者ですよ」と言っても、「悪者が苦しい言い訳をしても、そう騙されないぞ」と思われてしまいがち。
・・・私たちは、この問題にどう対峙すればいいのか?
「経過をきちんと追いかける」ということが大切だと思います。
これが、すっごく難しいんですけどね。
マスコミ、特に新聞やテレビなどは「今起こった事件」を追いかけるメディアだし、視聴者はそっちとの接点が多い。
こういう経過を追うようなルポライターに、もっともっと関心を持ってお金を落としていくべきなのではないか?と思った。
最後まで読み飛ばせない一冊
このノンフィクションは、ニュースを見て「ひどい」「なんてことだ!」と憤って、苦情の電話なんかを入れたり、ネットでハッシュタグをつけて「#○○の事件に抗議します」みたいなのを書いたりそういうのを拡散したりすることに熱心になっている人に、逆にそういうSNS社会に疑問を持っている人にぜひ読んでほしいと思う一冊です。
先ほど「前半でお腹いっぱい」と書きましたが、読み進めるごとに新たな事実が見つかってくる、読み応えのある一冊です。
また私は冒頭のある一点に違和感を覚える箇所があったのですが、それも最後の数ページで解けました。
そして、このこと恐ろしさが最後にぶわーっと襲ってくる。
彼女はそれもわかっていて、こんな暴挙にでていたのか・・・と。
気になった方は、ぜひ読んでみて下さい。
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