こんにちは、ドクダミ淑子です。
先日、こちらの本を読み終えました。
|
どんな内容なの?
公式サイトによると、こんな内容です。
コロナに脅かされる首都・東京の命運を担う政治家・小池百合子。
女性初の都知事であり、次の総理候補との呼び声も高い。しかし、われわれは、彼女のことをどれだけ知っているのだろうか。
「芦屋令嬢」育ち、謎多きカイロ時代、キャスターから政治の道へーー
常に「風」を巻き起こしながら、権力の頂点を目指す彼女。
今まで明かされることのなかったその数奇な半生を、
三年半の歳月を費やした綿密な取材のもと描き切る。
昨年の春、話題になった本ですが、なかなか読めておらず・・・あるきっかけで、読むことにしました。
その「きっかけ」の話は、また改めて書くつもりです。
少し前に、「この人は何をゴールにして生きているのだろうか?」という話から、「小池氏は大きな野望を追いかけ続けることに生きがいを感じる人だ」なんてことを書きました。
今回は、それと違う話をしましょう。
断片的だった「なぜ?」の欠片が全部はまった
この本を読んで、小池百合子という人間が、私の中では初めて輪郭のある存在として見えてきました。
なぜ、所属政党かコロコロと変わっていたのか。
なぜ、築地と豊洲の問題がうやむやになったまま豊洲が開場したのか。
なぜ、夏の暑さ対策で打ち水をしようなんて素っ頓狂なアイデアが出たのか。
なぜ、希望の党が派手に立ち上がったもののその後の音沙汰がないのか。
なぜ、緊急事態宣言の延長の際、神奈川・埼玉・千葉県知事を騙すような形で事を進めようとしたのか。
これらの疑問の答えがすべて見えるような本、それが『女帝 小池百合子』でした。
小池百合子はどういう人物なのか
この本の中では、彼女のカイロ大学卒業に対して、留学生当時にルームシェアをしていた女性からの証言から、彼女の言動・実際の出来事・卒業証書の日付などから、時間軸に矛盾があるということを明らかにしています。
しかしその後も彼女は、「カイロ大学卒・しかも首席で」という学歴を武器に、マスコミを味方につけながらニュースキャスターになり、政治家としての頂点を目指していくのです。
その中で、このような視点で、数々のエピソードを添えながら小池百合子という人物像を描き出しています。
- 平気で嘘をつく
- 自分に都合の良い物語を語る
- 権力のある男性にすり寄る
- 耳障りの良い言葉で好印象を与える
- 自分以外の人の立場や気持ちを考えない
- 自分が表舞台に立てることに夢中になり、地道な活動はしない
私が印象に残った部分を少し引用してみましょう。
ここを読んで、「ああ、今は二階氏にすり寄っているんだろうな」と思った。
小池さんはよく、お父さんが政治家になろうとして借金をし、大変な思いをしたと語っていたそうです。だから、世間への恨みがあるんでしょうか。社会的地位の高い人にすり寄っていくイメージがありますが、最後はそういう人を足蹴にする。お父さんのことが影響しているのか、成功した男性を貶めたいという心理があるように見える。男が組織の中で上り詰めるというのは、大変なこと。努力して権力闘争を乗り越えて、ようやく、そのポジションを掴む。でも、小池さんのような若い女性は、見た目と感じのよさで、あっという間に成功してしまう。男の成功者の苦労はわかっていないと思う。
水俣病・アスベスト訴訟・築地移転のゴタゴタなど、困っている人へ初めは&TVカメラの前ではいい事ばかりいっているのに、最終的には無下にするところは、こういうことなんだなと思った。
強者に憧れ、自分も強者でありたいと戦い、蜘蛛の糸を見つけては上っていく。自分の足下は見ようとしなかった。下を見るのは怖かったのだろうか。
彼女には、自分は自力で必死に這い上がってきた、という思いがあるのだろう。公人となってからも、だから、彼女は自分に助けを求めてくる人々に対して冷たかった。<中略>
上に上がろうとする自分の足に、つかまろうとする人がいる。それがぽもければ、自分も地の底に落ちてしまうと思うのか。
この人には、病の苦しみや他社が抱える苦悩は、理解できないのではないか。とても冷たい人ではないかと感じました。まったく何も学んでいないように見えた
そして、彼女はなぜ嘘を平気でつくのか?についての話。
言ったことは言っていない、記憶にないで済まされてしまう。過去はいくらでも書き換えられてしまう。都知事になってからも。なぜなら、それが彼女の本質だからである。
「中身のない人」の話
少し話はそれて。
私は、社会人になってから、営業として数々の商談をしてから、世の中には「中身のない人」というのが沢山いるんだなということに気づきました。
ある日の打ち合わせで、こちらの提案と先方担当者での話し合いをして「いいね!じゃあこれで行こう」と言って諸々の話がまとまったとしましょう。
先方は超乗り気で、「私は普段から○○の必要性を感じていた」「やっぱり、○○をちゃんとしないとこの会社はダメになる」みたいな感じで熱く語っていて、私は「ああ、この人はこういうことを考えているんだな」と思うのです。
しかし、その1週間後くらいに同じ話をすると、「検討の結果、△△になりました」と伝えられる。
その内容は1週間前とは180度方向性が違う・・・
そのことを指摘すると、「いいえ、最初から私はこの方針で考えていました」と返ってくる。
その目は真剣そのもので、私は「いやいや、ここにメモが・・・」とも言えず、なんとも言えない気分になる。
そして、今度は「△△案は素晴らしい!」「やっぱり、うちの会社らしさを打ち出すなら、□□が必要だ!」みたいに、1週間前と同じ熱いトーンで、1週間前と180度違うことを語り出す・・・
私は最初、こういう人が不思議で仕方がありませんでした。
方針が変わったなら、そう言ってくれればこちらも対応するのに、なぜ最初からなかったことにしようとするのか?
しかもその目は、嘘をついている目ではなく、心の底から、本気で言っているような目なのだ。
何度もこういう人に遭遇するうちに、少しずつ分かってきました。
「ああ、この人は『中身のない人』なんだ」と。
その時に誰かから聞いた言葉や上司の意見を、そのまま丸呑みして自分の意見だと思い込んで、何も考えずに賞賛する。
そのくせ、自分は思慮深く色々なことを考えていると思っている。
私はその姿勢が恐ろしいと思いました。
たしかに、その人は上司の考えをそのままコピーして営業担当に伝えてくるので、会社の・・・というか上司の意向に沿った動きができるだろう。
そして、上司が変わるたびに自分の考えを変えていく。
じゃあその人はどういうことを考え、どういう仕事のポリシーがあって、何を目指して仕事をしているのか?というと、そんなもの、何もないのだ。
中身は空っぽなのに、その場その場でそれらしいことを言って、その熱い話ぶりでなんとなくやる気がある人のように評価されて、なんとなく出世していく・・・
先輩のコピー、主任のコピー、係長のコピー、部長のコピー・・・と上司のコピーを繰り返し、最終的には社長のコピーになる。
でも、その人は最後の最後まで、「誰かのコピー」なのだ。
・・・ということを、ふと思い出しました。
中身のない、着せ替え人形
そう、小池百合子の正体も、「中身のない人」なんだと思う。
見た目が女性で、若いころは美人でスタイルもよい女性で、今もファッションやメイクに気を遣い、落ち着いたトーンでキャッチーな言葉を使い巧みにしゃべっているけれども、「自分の考え」なんてものは何もない。
可愛らしい見た目をしているけれども、脳みそも内蔵も何もなく、血液も通っていない・・・まるで人形のような人なのだ。
自分の信念ややりたい政治がないから、所属政党をコロコロ変えられる。
今この時点で優勢な人につくから、落ち目の人は簡単に捨てることができる。
その時その時で調子のいい事ばかり言うから、後になって真逆のことを言ってしまう。
とりあえず、キャッチーなことを言っておけば、周りも騙されてしまうからその手法ばかりを取ってしまう。
でも、「中身がない」としても、それで東京都知事まで上り詰めたのは、結構なことだと思いますけどね。
知事の手腕が問われる時代で
この「コロナ禍」というのは、彼女にとって追い風になったと思う。
こまごまとした問題、あちらを立てればこちらが立たずな問題、公約として挙げていた7つのゼロの実現が出来ていないこと・・・すべてを放り投げて、「コロナ対策しています!」と言っておけばどうにかなる時代なのだから。
「3密」「5つの小」「ステイホーム」「ゴールデンウイークは我慢の週」などなど、それっぽいことを言っておけば、民衆が「すごい」「さすが知事」と言われるのだから。
でも、その中でも少しずつボロが出始めている気もするけれども。
小池百合子が何を訴えようとも、東京の感染者数はもう増加に転じてしまっている。
「テレワークをお願いします」と言っても、実際にテレワーク化が進まない。
コロナ対策で、各都道府県知事が注目される時代になった今、東京都民は、そして国民は、小池百合子をどう評価するのか?
発売より少し遅れてしまいましたが、このタイミングで読めたことは、私にとって収穫でした。
こちらもどうぞ