ドクダミ自由帳

モテない精神を持ち続ける既婚30代女、ドクダミ淑子の毎日

【本感想】妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。 予防接種として読むべし

こんにちは、ドクダミ淑子です。

 

先日こちらの記事で少しだけ触れましたが、この本を読みました。

 


 

 

どんな内容なの?

公式サイトによると、こんな内容です。

 

「誰もが、この沼に落ちる可能性がある」
「普通の人が、ある日突然、加害者にも被害者にもなるんです」

――平凡な男がマルチ商法によって家族を失うまでをリアルに描き、noteでの記事が大反響となったノンフィクションを書籍化。
小さなほころびからもろくも崩れ去った日常と、「マインドコントロールされた夫」「母親が信者」「100個の夢を持つ恋人」など、多様な被害者像から社会の現状を描く。

自身の体験と、7年かけて集めた被害者たちの声。
いま、ブラックボックスの蓋が開けられる!

悪質なマルチ商法に手を出し、巻き込まれてしまった人の未来は残酷だ。家族、恋人、友人、といった人間関係は必ずと言っていいほどに破壊されていく。(中略)
悪質なマルチ商法にハマり、騙されるのは個人の責任である。この社会は、そう思うことでこの問題を片づけた気になってきた。しかし、それは騙された人、つまり弱い立場に置かれ、困っている人の自尊心を傷つけ、沈黙させることであり、問題の先送りにしかなっていない。本書は、マルチ商法を「個人の問題」ではなく、「企業の問題」でもなく、「社会の問題」として捉えなおす試みでもあるのだ。 (「はじめに」より)

 

 

日常に潜む勧誘の影

「あのさ、この前、大学時代のサークルの先輩に『久しぶりに会いたい』って言われて、カフェに行ったの。そうしたらなんか先輩の先輩?みたいな人が出てきて、私の肌についてアレコレ言い始めたの」

社会人1年目になったばかりのころ、高校の同級生で集まって遊んでいる時に友人の1人が語りだしました。

その子のお肌は、もともと弱そうで少し荒れています。

「それで、シャンプー何使っているの?とか化粧品どうしている?とか言われて・・・」

「シリコン入りのシャンプーを使っていると羊水がバスクリンみたいな色になるって言われたんだよね」

 

「何それ、倖田來未じゃんww*1

「そうなんだよ、それで最終的にはどうなるのかな?と思ったら、ア●ウェイの化粧品を薦めてきたの!」

「・・・それ、ちゃんと家に帰れたの?」

「うん、クーリングオフとか消費者センターの話したら、ちょっと粘られたけど最終的には解放された」

 

「バスクリン」「倖田來未の羊水が腐る発言を」と懐かしいワードが並ぶ思い出話ですが、今思うと、こういう話をあらかじめ、冷静な時にツッコミができる人達と一緒に聞いておくということは結構重要だったのだろう。

 

ちなみに、昔のバスクリンはこんな色ですね。

羊水がこんな色になったら、確かに大変です・・・ならねーよ!

f:id:dokudamiyoshiko:20210521102935j:image

 

また、私自身も勧誘されかけたことがあります。

その人は「外資系企業でマーケティングをしている」と言うのですが、歩く職業図鑑である私(人材系)との会話が全く合わないし、車は汚いし狭いし、洋服もボロボロだし、どう見てもお金がなさそう・・・と気になる点がたくさんありました。

複数人でスノーボードに連れて行ってもらい、帰りの車でさりげなく「知り合いのヘアメイクさんがメイクアップセミナーしているから来ない?」と言われて予約までしましたが、友人と「よくわからないけど怪しい気がする」という話し合いをし、後日キャンセルしました。

さらに後日、友人は自宅の最寄りの駅のカフェまできたその人に勧誘されて・・・こちらもアム●ェイでした。

私の友人も私と同じく圧が強めなので、「具体的にどういうロジックで儲かるのか?」「そんな抽象的なことを言われてもどうも思わない」だけを言い続けて、そのまま何もせずに終わったそうです。

 

その他、社会人になってからも「あ、この人目つきがヤバいな」という人には何回か会ってきました。

特に「異業種交流会」とか行くといるんですよね・・・ 

www.dokudamiyoshiko.com

 

これを読んでいるあなたは、もしかしたらこういった勧誘に会ったことがないかもしれません。

でも、実は身近に隠れているのです。

そして、その多くは仲間内で注意喚起されただけで、ひっそりと無かったことにされてしまう。

 

 

「ハマっている本人が目を覚まさないと」なんだけど

ハマっている本人が目を覚まさないと、どうにもならない。

・・・たしかにそうなんです。

 

でも、ハマっている本人は「洗脳」「マインドセット」されているので、なかなか目覚められないんですよね。

こんな一節があります。

 

実際に金も、モテも、自由も得られた、そんなマルチ商法の会員がみなさんの周りにいるだろうか? それでも彼らがマルチ商法を続けるのはなぜなのだろう。おそらく、そこには彼らが求める「生きがい」があるのではないかと僕は推測している。目標に向かって努力し、それを認め、褒めてくれる誰か。それを得られるマルチ商法という場所は、たんにビジネスではない。自分を承認してくれるところであり、生きるうえでのよりどころになっているのかもしれない。

 

著者の元奥さんもトンデモ科学にハマり、周りから引かれていく中、マルチ商法の人達には「よく勉強しているね」「ちゃんと勧誘できたね」と褒められることで少しずつハマっていったということが書かれていました。

本人は、マルチ商法での巧みな心理作戦によって、気持ちよくなってしまうし、マルチのグループの中に自分の「居場所」を作ってしまう。

「お金のために利用されているだけかも」「こんなの養分じゃないか」という疑念を全部消されてしまう。

そして、「私はここで真の自分に目覚めた」などと言うようになってしまうのです。

 

ああ、恐ろしい・・・

 

 

予防接種として読んでおくべき1冊

だからこそ、この本は「予防接種」として読んでおいた方がいいと思ったのです。

 

いざ、そういう人に会った時に、少しでも知識を入れておけば「もしかして、この人マルチ商法?」というアンテナが立つから。

おそらく、そういう免疫のない人が、心が弱っている時に、巧みな勧誘で引き込まれてしまうことが多いと思うのです。

 

この本の中には、著者であるズュータン氏の家族の話だけではなく、5人の体験談が入っています。

いずれも、マルチ商法にハマった本人ではなく、その(元)友人や(元)恋人や家族の声。

「マルチにハマったからといって、それって自分1人の問題でしょ?」と思うかもしれないけれども、全然そんなことはない。

周りの人もボロボロになってしまう危険性があるのが、(一部の)マルチ商法なんだなと思ったのです。

 

「マルチ商法?そんなの自分とは遠い話だよ」・・・そう思う人こそ、読んでほしい1冊です。

 

 

こちらもどうぞ 

www.dokudamiyoshiko.com

*1:当時、歌手の倖田來未さんが「羊水が腐る」発言をして盛大に叩かれてスーツで謝罪会見をしていました