こんにちは、ドクダミ淑子です。
時々経営者の方と「どうして若者はすぐに仕事を辞めるのか」みたいな議論をすることがあります。
私は経営者や管理職の方々と会話しつつ、一方で若手や中堅、入社間もない人にインタビューをしたりするのですが、そうやって様々な人と会話していると、人による「職場への認識」のギャップが大きくなってきているのではないか?なんてことを思ったりします。
「職場」を「居場所」と考える人、そうではない人
「なぜ若者はすぐに会社を辞めるのか?」そういう問いをする人は、会社に対する所属意識とか帰属意識とかが高い人なのだと思う。
「なぜ若者は・・・」の問いへの答えは「自分の生活スタイルや理想の働き方と合わないからやめる」だと思うんだけれども、その「合わないからやめる」っていうのがそもそも理解できないケースが多いのだ。
「合わないなら合わせればいいじゃないか」「ちょっとくらい理想と違っても我慢すればよくないか?」こんなことを考えている。
「石の上にも3年」とか言うような人たちは、我慢しながら働き続けていけば、いずれはその「合わない」って部分も諦めたり慣れたりして、平気になってくるのになと思っているけれども、今の若い人にはそういう感覚はあまりなくて、「合わなければ辞める」なのだろう。
それは、職場を「居場所」「心の拠り所」「所属する場所」と考えるか単に「仕事をする場所」と考えるかの違いもあるのかもしれない。
「腰掛け」感覚の復活
私の母親世代くらいだと、「腰掛けOL」みたいな言葉があって、若い女の子は結婚したら辞めるから、それまでの期間の「つなぎ」みたいな感じで働くのだ、みたいな感じだった。
友達のお母さんに「あなたたちはちゃんと仕事していて偉いわよね。私たちの時代なんて、出勤しただけで花丸みたいな感じだったわ」と言われて驚いたこともあったけれども、きっと当時の女性は、出勤して、お茶を出したりしながらおじさんに対してニッコリと微笑み給湯室で噂話したりしつつ、社内に若い女の子らしい華やかさを振りまくのが仕事みたいなものだったのだろう*1。
昔の腰掛OLとは仕事内容は違うけれども、働く感覚として、「腰掛け」みたいな感じの人も増えているのだろう。
あくまでも仕事はお金を稼ぐための手段であり、そこに自分らしさなんて必要ないし、会社に居場所なんて無くてもいい。
自分の居場所は「家」だったり、退勤後に行く場所にあるのだ、みたいな感じ。
経営者と従業員に意識の差があるのは当たり前よね
経営者なんかは、仕事=自分の生き甲斐みたいな人も多いし、中小企業なんかだと自分の財産を会社の資産に入れて経営しているケースもある。
だから、この「仕事は業務時間に業務をするだけの場所」という感覚が、理解できないのだろう。
それは仕方ない。
経営者と従業員のギャップなのだから。
むしろ今までの会社員は経営者でもないのによくもまぁ強い帰属意識と当事者意識をもって仕事に取り組んでいたな、と思う。
と言いつつ、「居場所」があると嬉しい面もある
ただし、完全にドライな感じで、もう仕事内容だけでマッチングして、仕事だけ出来ればOKっていう感じにもならないのが現状で。
若者だって「合わなければ辞める」だけれども、「合えば続ける」だし、「続けていけば愛着もわく」なのだ。
会社に居場所なんて最初から最後まで求めない人も、もちろんいる。
でも、「居場所になったらそれはそれで嬉しい」というのもあるのだ。
だから、今の経営者は「まずは安定した収入と新入社員に厳しくない職場環境」を用意して、入社したらとりあえずちゃんと続けてもらうことと、ある程度続けてもらってからのキャリアパスを両方とも用意することが求められる。
「腰掛け」という感覚で入った人が、ちょっと腰掛けてから辞めてしまうケースと、腰掛け感覚で入ったのに気づいたら定着してなんだかんだでいい感じに働き続けているのと、両方を見ていかなければいけないのだ。
昔みたいに「入社したら全員を家族だと思って定年まで面倒見るぞ」「そのためには最初の10年は下積みだ。つらいけれども歯を食いしばって頑張れ」とならなくなっている中で、どうやって定着に結びつけていくのか・・・
これが出来る企業と出来ない企業で、10年後の姿は全然違うのだろうな、と思っている。
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*1:余談だけど15年前の私が入社した時も、営業事務のべらぼうにキレイなお姉さんがいた。仕事はあまりしていなくて、「行ってらっしゃい、頑張ってくださいね」と言うだけで男性の営業はやる気が出ていたのできっとそれが仕事だったのだと思う。今はそういう人はいなくなった。