こんにちは、ドクダミ淑子です。
最近は、知床観光船のニュースに心が引っ張られています。
もしも自分が沈みゆく船の上にいたら、家族が一緒にいたら、もしくは自分以外の家族が乗っていたら・・・と想像すればするほど、つらくなる。
映画『タイタニック』なんかはボケーっと観ていたんだけれども、それは若さ(1997年の公開当時12歳)ゆえの想像力のなさだったのだろう。
あと、現代でこんな悲惨な事故が起こるはずがない、と思っていたのもあるかもしれない。
さて、そんな中ですが、ある経営コンサルタントの方が話題になっていますね。
私も人材業界に10年以上いて、わりと色々な業種・職種の企業とやりとりをしたことがありますので、あの手の会社の息がかかった企業と仕事をしたこともあります。
今回は、そんな話を書いていこうと思います。
※個社の特定と私の特定を防ぐために、多少ぼかして書いています。
第一印象は、礼儀正しいしっかりした会社
あの手の企業を訪問した際に、最初に感じるのは「礼儀正しくて、しっかりした企業だな」です。
エントランスには「来る人のことを考えているんだな」と思わせるような装飾や、案内表示があったりします。
従業員の対応はとても丁寧で、オフィスは清掃が行き届いており、目の前を通ると仕事の手を止めて挨拶をしてくれたりもします。
商談をする人も、丁寧で礼儀正しく、こちらの話を熱心に聞いてくれます。
次第に不安になっていく
しかし、そんな「良い印象」は次第に違和感に変わっていきます。
なんというか、会話が広がらないのです。
皆さんは、商談をしていると、疑問に思ってくる事ってありませんか?
私は「じゃあ実際に運用するとなると・・・」と想像して、あの点やこの点はどうなるのだろう?みたいなことが質問として出てくるんですけれども、そういうのがない。
ただ、熱心に話を聞いて、「よくわかりました、ありがとうございます」とにこやかに言われて、おしまい。
そして、そのまま結論を貰う場合もあれば、後日大量の質問が来たり、場合によっては「再度訪問してください」となることもあります。
再訪問の場合、上司が出てきて、ほぼゼロからのスタートで、前回話した内容をもう一度話すことになります。
オフィスを見渡せば、違和感の正体がつかめる
この流れになると察するのですが、だいたい初回訪問の時になんとなくわかります。
オフィスの中を見回すと、それっぽいモノがあるので、「ああ、アレ系だな・・・」と気づくんですよね。
- 賞状
- 標語
- 書籍
- 職場の教養
- 経営計画書
全部あったとしても、「アレ系」ではない会社もあるのですが、雰囲気×オフィスにあるもの、で大体察することができます。
とにかくそのくらい、社員が、会社全体が独特の雰囲気なのです。
良く言えば、感じが良い人が多く、対応が丁寧で、社内に活気があり一体感を感じられる。
悪く言えば・・・なんだか、空っぽなのです。
失礼な言い方をすれば、高精度のNPC*1みたいな。
自分の頭で考えなくても、考えている感じに動ける
一時期、その手の顧客が紹介で増えたこともあったので、私は彼の著書もいくつか読んだことがあります。
読んで、私の感じていた違和感の正体がつかめました。
彼の経営する会社は、凡人をしっかり「教育」することで、上手く回していったという歴史があります。
その「教育」というのは、何かというと、「会社の方針」「経営計画書」に書かれているように動くという、教育。
決して「自分の頭で考えられる人間を育てる」ではないのです。
遠目から見ると、「自分の頭で考えて行動している」と見えるかもしれませんが、よくよく見るとそれは「ある課題に直面したら、経営計画書に書かれている場所を見つけ、それにそって解決する」というプロセスになっています。
だから、経営計画書に書かれていないことを検討する際に、「何をどう考え、検討すればいいか」がわからないのかもしれない・・・と、商談での様子を振り返ると思うことがあります。
自分の頭で考えなくても、考えている感じに動けるようになる・・・それが、彼の教育の成果なのだ、と私は感じました。
孫正義を目指すな!凡人の中の最高を極めよ | 門外不出の経営ノート | ダイヤモンド・オンライン
凡人の活躍、凡人の幸せとは
私は、「その手の顧客が紹介で増えた時期」に、考えていたことがありました。
「ここで働く人は、幸せなのだろうか?」と。
彼らは、明るく楽しく仕事に励んでいます。
尊敬する社長と、わかりやすい指針(経営計画書)があり、会社の業績もちゃんと出ている。
でも、「洗脳されている」と言われればそうかもしれないし、「この会社以外では活躍できない」かもしれない。
・・・んだけれども、そんなことを考えなければ、彼らの中では「幸せ」なのだろう。
世の中には、色々な人がいて、「この手」の企業で幸せになる人もたくさんいる。
自分でゼロから選択するのではなく、誰かに指針を示してもらいたい、という気持ちもわかる。
だから、それを「洗脳」なんて言うのは、私の驕りなのではないだろうか?
人材系の仕事をしていると、切っても切り離せない、ブラック企業との出会い。
そして、そこで幸せになってしまう人を見て、色々と考えてしまうのです。
突然、縁が切れる
さて、過去にそんな企業とのつながりがあったと書いたのですが、ある時期にそのご縁はパッタリと途切れました。
「すみません、知り合いの採用コンサルタントに頼むことになりました」
もともと紹介で繋がっていたので、皆さんにその言葉でお断りされました。
・・・これも1つの特徴ですね、芋づる式に、誰かの鶴の一声で取引業者を変えるっていう。
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*1:ノンプレイヤーキャラクター:ゲームに出てくる、話しかけられると同じことを言い続ける村人などのキャラ