こんにちは、ドクダミ淑子です。
少し前に、こんな恐ろしいツイートを見てしまいました。
本当にこれ!私の場合は3段階でやってます。10万円以下3社比較、10−100万は6社比較、100万超え必ず12社比較。例えこの前のオフィス内装工事、1時間刻みで朝8時から20時までに12社に来て貰い、その後12社分の見積を頂いた。私からこうしてあうしての説明は全く同じにも拘わらず値段の差はマックス6倍。 https://t.co/m71DWW2hbQ
— Sonny Wang|Links株式会社 (@LinksSonny) December 6, 2021
「1万円以上社長稟議で3社比較」というツイートに対し、「本当にこれ!」とかぶせて、こんなことを書いているんですね。
- 10万円以下は3社比較
- 10-100万円は6社比較
- 100万円超は12社比較
営業をしている(育休中)私からすると「ひえええええ」とガタガタ震える内容でした。
なぜ震えるのかを、私が仕事で接している人達を見る範囲で、書いていこうと思います。
私の仕事相手は「人事」または「経営者」です
私がやっているのは、人材系のサービスを提案して売る仕事なので、仕事相手は「人事」が多いです。
また、中小企業・ベンチャー企業、もしくは社運をかけた一大プロジェクトへの人材募集だったりすると、経営者が出てくることもあります。
当たり前なんだけれども、「社員」と「経営者」だと、思考回路は全く違って、それはそれで面白い。
なんというか、話を聞きながら見ている「視点」が全然違います。
「社員の労力」をどう捉えるか
私の仕事はざっくり言うと、「お金払っていただければ、人材募集を楽にできますよ」って感じの内容なんだけど、この「お金を払って仕事を楽にする」ということに対して、すごく抵抗感を持たれる場合があるんですね。
人事の方へ色々と提案して、会社に稟議を上げると、「お前が楽をしたいからって金を払うのはいかがなものか?まずはコストを掛けずに人材募集をする方法をしてみろ」みたいな感じで却下されることが、時々あります。
そしてそういう時、経営層からこういう趣旨のことを言われることがあるのです。
「そんな金を払わず、お前が足を使って探して来たら『タダ』だろ?」と。
私はそういう話を人事の方経由で聞くと、「ああ、この会社は人事の労力をきちんと考えていないな」とがっかりします。
たしかに、人事の方がハローワークに通い、リファラル採用のための取り組みをし、新卒なら大学に挨拶回りをして・・・とやって、誰かを採用したら、発生する費用は「人事の給料」だけです。
でも、その「足を使って人を探す仕事」を人事がしている間、その時間があったらできたかもしれないことが出来ないままなのです。
例えば、評価制度を見直すとか、研修を変えるとか、福利厚生を見直すとか、働きやすい環境づくりとか、社員との面談とか・・・
冒頭の会社の話も同じで、「12社に見積もり依頼して、12社から回収して、12社分を比較する」をする人の労力を全く考えていないのです。
比較するって、単に金額だけで数字で判断するならすぐかもしれないけれども、「条件」「仕様」が各社によって微妙に違ったりすることがあるじゃないですか?
そういう細かいところまで見て、場合によって問い合わせして確認して、そして完全に「理解」して社内の手続きして発注して・・・っていうと、それだけで何日かかるんだ、その間のその人の仕事は無駄だらけじゃないか、って思ってしまう。
支出を抑えるか、収入を上げるか
この話は、会社が自社の売上をどうやって上げていこうと考えているか?という話に繋がっていると思っていて。
冒頭のツイートの会社なんかは、家計にたとえるなら、支出を抑えて手元に残るお金を増やすっていう思考なんですよね。
たしかに、それも大切。
無駄遣いは極力減らした方がいい。
でも、会社の場合は収入、つまり売上を増やすということを考えることはもっと大切だと私は思っている。
そして、売上を増やすためにお金を出す・・・「投資」できるかどうかが、その会社が伸びるかどうかに関わってくると思う。
特に、経営者の思考がそっち(売上を上げるとか、そのために投資するとか)に行っているかどうかは、とても大事。
だから、経営者が「支出を減らす」ことに躍起になっているって、とても後ろ向きだと思ってしまう。
だって、「売上を上げることは難しいから、経費を抑える」って方向に注力しちゃうんでしょ?
それも、貴重な社員の時間と労力を使って。
それよりも、「多少の経費を使ってでも、売上を上げるために本当にやった方が良い事に時間を使えるようにする」と考えている経営者の方が、私は前向きで良いと思うし、できればそういう人と一緒に仕事がしたいと思う。
優秀であればあるほど、敬遠する会社だよね
今まで「社員の労力」という視点で書いたけれども、取引する営業視点で見ると、こういう「面倒くさそうな会社」は、出来るだけお付き合いはしたくないと思う。
特に、優秀な人であればあるほど、12社の中で比較されて細かいところをああだこうだ言われる会社なんて、面倒臭くてやっていられない。
100万円以下で6社比較されるなんて、面倒くさくてたまらない。
そんな見積もり合戦に参加している時間があったら、別の仕事をすればもっと売上があげられると思うだろう。
私も時々、「これは見積書が欲しいだけだな」って依頼が来るけれども、その内容によっては取引しなくてもいいように、値引きは一切なしの定価の見積を出している。
「死んでも取引したくない」って時は、さらに上乗せして出すこともあるな。
幸いにして会社は「労力だけかかるような会社とは取引しなくてもいい」と言ってくれるし。
もしくは、「面倒くさいけれども大した利益にならない仕事か・・・じゃあ売れてなくて暇そうなアイツにやらせよう」ってなるんですよね。
だから、「うちはポンコツ営業マンしか来ない」っていう会社は、自社の値切り方について少し見直してみてもいいのかもしれません。
大切なものは、目に見えないんだよ
私は上記のように考えるから、冒頭の相見積もりしまくる社長は、手元にお金を残しているかもしれないけど、目に見えないものをたくさん失っているように思えてしまう。
社員の時間や労力や、未来の会社をよくするためにやった方がよい取り組みや、売上をあげていくためにする施策や、間接部門で働く人の仕事のやりがいなどなど。
そうやって、目に見えない犠牲の上に、経費を削って残したお金、それでドヤっている人を見るとやっぱり、ぞわぞわしちゃいますね。
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