こんにちは、ドクダミ淑子です。
少し前、どこかのツイッタラーが、「デザイナーに月1万円で頼み放題とかWin-Winでナイスアイデアじゃね!?」とつぶやいてプチ炎上していました。
つぶやいた方はビジネス経験ほぼゼロ、サークル活動に毛が生えた程度の頼みごとの経験しかないので、きっとデザインを頼む側と頼まれる側でどんな動きがあるのかを知らないのでしょう。
この人を責めても意味がありません。
でも、私は思いました。
「仮にこれが本当にできたら、地獄のようなサービスになるな。私は絶対加担しない。」と。
ということで今回は、デザイナー&ライターさんとやりとりする営業目線で、このサービスの地獄さについて書いていこうと思います。
駆け出しで仕事が欲しいデザイナー
仮にこのサービスができたら、仕事が自分で取れない、スタートしたばかりのデザイナーは登録するかもしれません。
「月1万円でも収入の足しになれば」くらいの人ですね。
確かに、0円→1万円になれば、それは良いでしょう。
デザインには正解がないのだ
しかし、ここには落とし穴があります。
「月1万円で頼み放題」なのです。
デザインの世界は、正解がありません。
せっかく考えて出しても、「思っていたものと、なんか違う」と言われることもあります。
まぁ、「なんか違う」って言う人は、大抵頼む側(クライアント)として初心者で、自分の要望や押さえてほしいポイントを上手く伝えきれていないんですけどね。
ただ、頼まれる側(デザイナー)も、顧客の要望を汲み取れていないとも言えます。
つまり、両者のコミュニケーション不足で、「やり直し」が発生するのです。
やり直しっていうのは結構手間です。
「文字の色をもっと明るく」「この図をもう少し大きく」っていうのも、素人が思っている以上に時間がかかります。
全体のバランスってものがあるからです。
「やっぱり違うデザインもう1つ作ってくれる?」は最悪です。
そこで頑張ってもう1案出して、「うーん、もう1つ!」とか言われた日には、ブチキレますね。
私、デザイナーじゃなくて営業ですが。
月に1万円「も」払っているという感覚のクライアント
さてさて、そんな手間のかかるデザインのお仕事を依頼している頼む側=クライアントは、それを理解しているのでしょうか?
まぁ、そんな人はきっとこのサービス内にはいないでしょうね。
「月に1万円も金払ってるんだから、ちゃんとやれ」と思っているはずです。
これは私の経験からですが、安いサービスを選んだり、値切ったりしてくる顧客ほど、要望が高く、クレームも多いです。
「この金額ではサービスの範囲が狭くなりますよ」と言って、了承いただいた上でスタートしても、文句を言われます。
「なんでこんな簡単なこともやってくれないんだ」「それはサービスの範囲外なので、できません」「こっちは客だぞ!金払ってるんだ」・・・こんな感じですね。
自分が消耗するのでこういう人とは出来る限り仕事しません。
1万円頼み放題サービスも、仮に出来たらだいたいこんな顧客ばかりになるでしょうね。
言い出しっぺがそんな感じだし。
サービスに集まるのは、「面倒な客」と「初心者デザイナー集団」
だから、そのサービスは、面倒くさいクライアントと、初心者クオリティのデザイナーの集団になります。
ある程度実力のついたデザイナーからは、「仕事はあるけれども、単価が安くて消耗するだけ」と認識され、「早くこんなところ脱出しないと」と思われる、ブラック企業みたいなサービスになります。
そして残るのは、初心者デザイナーだけ。
そのサービス内でマッチングをしている分には別に問題はないのです。
なぜなら、両者はうまくマッチしているから。
問題なのは、そのサービス外に出たとき
問題はそのサービスの外を出た時です。
クライアント側は、今までのやりとり同様、「金を払っているんだから」「前のデザイナーはこのくらいタダでやってくれたぞ」「高すぎる」と、ビジネスの世界でのモンスタークライアントになります。
デザイナー側は、「私の価値は、こんなものだ」と、以前と同じような価格帯で自分を安売りして、実力に見合った適正価格が提示できなくなるかもしれません。
あとは、先程の「要望を汲み取る」という力がつかず、いつまでたっても「なんか違う」と言われ、直し続けるのが当たり前のデザイナーになってしまうかもしれませんね。
そしてそういう人は、なかなか収入が伸びません。
まとめ:デザインの世界もコミュ力が大事
ということで、私はこのサービスは絶対に使いません。
初心者デザイナーに手直しをお願いすることで、自分自身がモンスタークライアントみたいになるのも嫌ですし、そんなことで時間もストレスもかけたくない。
仕事のできるデザイナーに、適正な価格で頼み、一発OKを出すことが、私の時間も精神力も消耗されないから。
「金払っているんだから」「お客様は神様だ」・・・こんな風に言わない人で居続けるために、私はきちんと伝え、1発OK(は難しいので2発くらいで)を出すようなクライアントであろうと思います。
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