ドクダミ自由帳

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【本感想】ルポ超高級老人ホーム 自分の老後に思いを馳せる

こんにちは、ドクダミ淑子です。

 

夫実家帰省の際にはいつもよりもたくさん本を読めたのですが、その中でラスト、3冊目はこちらを読みました。

 

 

 

どんな内容なの?

公式サイトによると、こんな内容です。

 

入居金3億円超え。超富裕層のみが入れる「終の棲家」は桃源郷か、姥捨て山か。元『週刊文春』エース記者が踏み込んだ、超高級老人ホームという聖域。死に場所さえステータス化する金持ち老人たちのマウンティング争い、悪徳業者への潜入取材など、日本で初めて「高級老人ホーム」を取材した衝撃のルポルタージュ。

 

色々な介護付き有料老人ホームを中心に、正式な形での取材と、悪徳という噂のところは仮名で紹介し、潜入取材をしたりと、様々な形で老人ホームを取材していました。

 

 

元気な年寄りの入る施設が中心です

この本では、色々なタイプの介護付き有料老人ホームや分譲型のシニアマンションなどが出てきます。

 

どちらかというと、認知症にはなっていないけれども加齢による身体の不安があったりする人や、思い描く老後の生活スタイルに合わせて自宅を手放して入ってくる人が入居するところで、「特別養護老人ホーム」「老人保健施設」とは違うスタイルの住居を取り上げています。

それに追加して、入居に億単位のお金がかかるような、「高級」と呼ばれるようなホームが中心だったりする。

 

私は仕事柄、介護職の募集のお手伝いをすることもあるし、なんなら施設も一般的な人よりはよく行くし、クライアントの中では「高級」みたいなところを運営しているところもある。

都内の高級住宅地と呼ばれるような場所のシニアレジデンスを見るたびに、ここに住んでいる人はどんな人なんだろう?なんて考えたりする。

 

 

高級とは何なのか

著者はこの取材を始めたきっかけとして「高級」とは何なのか?というテーマの会話を取り上げています。

「高級とは、そのサービスを受ける人が高級だと思うから高級なのだ」みたいな話。

 

その話をきっかけに、高級と呼ばれている施設のベールの中を見ようと取材を始めるのです。

「悪徳」と称されている芦屋のホームなんかは見学者を装って、名前が出せるようなホームなら取材と称して、居住者の人も紹介してもらって。

その中では実際に贅を凝らした造りのホームもあれば、「職員や居住者(理事会)達が工夫してより良いものを作ろうとしていることが高級に繋がっている」みたいなことを示唆しているホームもあった。

 

 

老後の人生をどうやって充実させるか

私が印象に残ったのは、分譲型のシニアマンションで、理事会がめちゃくちゃ幅をきかせているところ。

徳川さん(仮名)という理事会の中心的人物とそれを支えるメンバーとの会話のシーンは、何か言えば「●●さんは海外駐在が長かったからね」と挟んだり、「○○さんは理系だから」とか、いちいち今までの経歴を話題にしてきたりするところ、「ああ、嫌な感じのジジイだわ」って思ってしまった。

過去の栄光を鼻にかけていたり、知人同士も経歴で語っちゃう感じの。

老後のために買ったマンションなのに、徳川さんの思い付きで「理事会」と称され毎日呼び出されて集合してなんだかんだで「仕事」して・・・なんて面倒臭すぎると思ってしまった。

それを嬉々として話すジジイとか、私からすればご遠慮願いたい、ムダ会議ばかりする非効率人間じゃねぇか・・・と思うんだけれども、それを話す彼らはどことなくイキイキしているんですよね。

そうか・・・これが「老後の人生」というものなのかもしれない。

 

今までバリバリ働いてきた仕事も引退し、食事つきシニアマンションなので食事は3食出てくるから困ることはなく、時間はきっと働いていた頃や子育てをしていた頃と比べて無限にあるのだろう。

その中で関心事は、「自分達の住んでいる環境をいかに良くしていくか」「自分達にとって快適な環境をいかにキープしていくか」みたいなことに寄っていく。

管理会社は考えてくれているかもしれないけれども、住人からすれば不十分、もっともっと自分達の手でよくしていかなければ・・・みたいなことを考えていくと、生きる力がわいてくる、みたいな。

 

私みたいな面倒くさがりは、管理会社におんぶに抱っこでお願いしま~すって思っちゃうんだけれども、そういう気合のある人達がいる施設は、たしかに良い施設になると思う。

その一方で、理事会が新しく住むことを検討する人を「審査」みたいなことをしている、みたいな気になるシーンはあったけれども。

 

この本を読んでいると、一言で「高級老人ホーム」と言っても、その人の人生や理想とする生活スタイルによって、様々な形があるんだな・・・と改めて思った。

私がこういう高級老人ホームに入れるかというと、多分無理だし、老後のことは分からないけれども、これは決して「高級に踊らされる気の毒な老人」の話ではなく、誰もが直面する「自分の老いとどう向き合い、人生の最後をどこでどう過ごすのか」という問題に繋がっていると思う。

 

・・・とはいえ、まずは好奇の目で、「金持ち老人が騙されているんだろうか」とかで読んでみてもいいと思う。

実名が出ている施設は比較的マイルドに書かれているので、読みやすい(逆を言えばゲス成分は少々足りない)ルポルタージュだと思います。

 

 

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