こんにちは、ドクダミ淑子です。
企業が新卒採用をするということについて、ハードルを低くすべきなのか高くすべきなのか・・・私は仕事をしていて、これを考えることがあります。
新卒採用はデメリットばかり強調されがちだけど
日本独自の「新卒一括採用」にはデメリットがあり、もっと働く人に流動性を持たせようというのは、わかる。
でも、実際に、従業員数50人くらいの中小企業の総務兼人事兼営業責任者みたいな人が、「中途で採用出来ないし、中途で採用してもすぐ辞めちゃうからなぁ・・・新卒もターゲットに入れてみようかな~」みたいなことを相談してくると、果たして本当にこの会社に新卒が入っても大丈夫なのだろうか?と心配になるのだ。
だって、中途の、どこかの会社でビジネスマナーやらなんやらを学んだ人も採用してもすぐに辞めちゃうような会社でしょう?
新卒が入ったらどうなる?って考えてしまう。
中途でも育たない環境というのは、やっぱりどこか問題がある。
それで新卒を気軽に入れてしまうのはリスクがあるのではないだろうか。
そして気の毒なのは、新卒の場合は「前職」という比較対象がないということ。
うっかり入社してしまうと、「これが社会人ってやつなのか」と思ってしまうこともある。
どう考えても問題アリアリな職場環境とか働き方でも。
そしてそれに染まってしまうならまだマシだけれども、その環境に耐えかねて身体や心の調子を崩してしまうこともある。
もしも染まってしまうと「ブラック企業の構成員」になる。
生き抜けるのなんて、一握りだ。
ジョブ型採用は「良いこと」なのか?
ただ、私のその心配とは裏腹に、社会全体は新人育成にコストをかけることも難しくなり、その言い訳(と私には思える)としてジョブ型採用に期待を寄せている。
教育のコストを抑えて、質の高い人を新卒から育てるのではなく、ある程度育った段階で採用できたら・・・って感じだ。
それは、「質の高い人」ならどんどん年収アップして、キャリアアップできるのかもしれない。
でも、「そこそこ以下の人」は?
ろくに教育もされないまま、たらい回しにされて、30歳くらいになった時にスキルもなく「社会人としての基礎」みたいなものもなく、とりあえず「言われたことだけなら出来る人間(もしくはそれすら出来ない人間)」が量産されるだけになってしまうのではないだろうか?
時々「欧米ではジョブ型採用が云々で日本はアカン」みたいな話も聞くけれども、実際のところ「ジョブ」にマッチしない人はどんどん脱落していく。
マッチするジョブが世の中のどこかにあるかもしれないけれども、「社員として求められるジョブ」のどれにもマッチしない人はどうなるか?
足りないスキルを教えられる機会がなく「このジョブに合致しなければウチでは雇えません」となると、自分で学習したり取得したりする手段がわからない人は「誰でも出来る仕事」に従事するしかなくなる。
「正社員になりたいけれどもなれない」人が今よりも多くなってしまうのではないだろうか?と思ってしまう。
新卒を育てる体力をつけるべきだと思うんだけどな
だから、色々考えると、私は企業は新卒採用をした方がいいし、「新卒を採用してゼロからちゃんと育てるんだ」という気合のある企業に新卒採用活動をしてほしい、という結論になる。
ただし、私の中の結論とか希望とかと異なり、企業側は「とりあえず若手欲しいから新卒」「教育体制は入ってから考えるからまずはやってみる」みたいなニーズは大きくなっている。
単純に、少子高齢化に伴う労働人口の減少・・・つまりは「人手不足」だからだ。
私の働く会社への問い合わせもかなり増えている。
その中で私に出来ることは、少しでも、採用する側の意識を変えていくこと。
そして、企業、特に中小企業の魅力を引き出し、売り手市場の中でも仕事を探している人に対してアピールしていくことなのだろう。
時々、色々話をして「貴社には新卒採用するの難しいです」という回答をすることもある。
でも、そうやって少しでも、働く環境の整った会社を増やしていくこと、啓蒙していくことしか、やることはないのだろうな・・・と思う。
「採用したい」という企業が増えれば仕事は増えるが、ストレスもモヤモヤも増える。
【追記】
ここまで書いて下記の記事に出会ったけど、私が「ジョブ型採用」に反対するのは、日本企業の「ジョブ型採用」は中途半端だからかもしれない。
この例に出てくる「25歳の後釜が50歳」っていうのは、ほぼない。
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