ドクダミ自由帳

モテない精神を持ち続ける既婚30代女、ドクダミ淑子の毎日

幼少期にこじれた糸をほぐすのは上司なのか?

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こんにちは、ドクダミ淑子です。

 

ある朝、長い付き合いのお客様から、「今後の相談がしたい」と連絡がきました。

「もしよろしければ、今日はいかがでしょうか?」

・・・ずいぶん突然だな。

 

「13時からだったら行けますよ。1時間くらいでしたら」

急ぎで採用が必要になったのかもしれない、そう思い、ちょっと無理して予定を入れました。

先日、この会社は採用できたと思うんだけど、もしや大量に辞める人が出てくるとか?逆にもしかして営業所増やすから増員とか?

色々なことを考えながら、アポに向かいます。

 

行ってみると、開口一番がこれ。

「ここ半年は採用活動をしないと思う」

はい?

ではなぜ、私は呼び出されたのですか・・・?

 

その人事担当者は、本当は採用計画ではなく、相談がしたかったようなのです。

 

 

わかりあえない人達

「実は、ちょっと被害妄想が強い新人がいて、その教育担当がメンタル不調になってしまったんです」

そうなんですか・・・なぜそんな風になったんです?

 

「先輩は自分にだけ厳しく言ってくる。営業所や会社ぐるみで自分の評価を下げに来ている、と思い込んでいて、それを先輩に言うんですね。周りに聞こえるような大きい声で泣きわめきながら」

「周りも、それは違うと思うものの、新人が泣いているからつい優しく慰めてしまうんですよ。すると先輩の方も思っちゃうんです、『もしかして、自分が間違っているんじゃないか』と」

「営業所長もどっちもどっちみたいなことを言うから、結局間違ったことを言っていない、ただ注意しただけの先輩が責められるような形になるんですね。それで『休みたい、それか新人の教育担当から外してくれ』と・・・」

なるほど・・・

 

「新人は別に勤務態度は悪くないんですよね。でも、上層部には営業所全体に悪い影響を与えかねない危険因子みたいな見え方になってしまっていて、人事の私はどうしたらいいか、何かいいアイデアはないかと困っているのです。どうでしょうか?」

 

営業の仕事をしていると、こんな風に急に意見を求められることがあります。

しかも、複雑な話や回答内容次第では誰かの人生が変わるかもしれない話に対して即答しなければいけないシーンもあります。

 

そんな時はどうするか?

私は「自分の経験」「自分の会社」から語ります。

むしろ、それしかできません。

 

「私はこういうことを経験し、その時にこう思った」

「弊社ではそういう事が起こったらこう対応している」

このように自分のこと、自社のことを語ることで、「御社だったらこういう対応ができるかもしれません」と伝えます。

 

ということで、必死に自分の経験フォルダを開け、Ctrl+F「メンタル」「被害妄想」などで検索します。

 

よし、1個引っかかった!

 

 

自分の問題を乗り越えるのは自分しかできない

私は話し始めます。

でも、これは求められめている回答ではないと思うものが出てきました。

 

***

 

被害妄想が強くて、自分だけいじめられているとか、自分だけ損をしているとか、他人の言っていることを信じられないとか、そういう風に思っている人って、いますよね。

「そうじゃない、違うんだ」って言うことも思い込みが激しいとなかなか伝わらない。

そして、そういう人とは信頼関係がないから、仕事も上手くいかない。

 

ただ、それってどこまで仕事の問題なんだろう?とも思うんです。

 

そういう、人のことを信じられないとか、人に嫌われることを極端に恐れたりするのって、子ども時代、もっというと、お母さんお父さんとの関係性が上手く行っていなくて、それを大人になってもずっと引きずっているんじゃないか?と思うことがあるんです。

あくまでも私の経験則ですが、そういう人とのコミュニケーションをうまく取れなかったり極端に自分を卑下する人って、小さい頃に保護者と接する時間が、例えば物理的な理由で十分にとれなかったり、そもそもお父さん・お母さんが子供とちゃんと接することができる精神状態ではなかったり・・・

 

「ああ、わかります」

 

もちろん、その人のためにそういう問題を乗り越えてほしいという気持ちはあります、でもその「自分の問題を乗り越える」まで手伝うというのは、果たして仕事になるのかどうか?と悩むことがあるのです。

しかもそれを数字に追われ、他の子の面倒も見なければいけない「現場」にどこまで「仕事の一環」としてやらせるのか?と考えると、それって実現が難しいのでは・・・と思うのです。

 

「確かにそうですね」

 

結局、そういう、大人になる前に負った傷や、自分の弱い面って、自分で気づいて、自分でそれを乗り越えようと思わないと、乗り越えられないんですよね。

いくら周りが手助けしたからといって、本人にその気がなかったら、変わらないと思うんですよ。

だから私たちにできることって、ないのかな?とも思ってしまいます。

 

もしも人事さんがその人をそれでも育てていこうと思っているんだったら、出来ることって「対話」しかないと思うんです。

とにかく話を聞いて、聞いて、糸をほぐして、その上で自分の弱いところに気づかせてあげて、頑張る勇気を与えてあげる・・・それしかできないんじゃないかと思います。

「やっぱりそうですよね・・・」

 

 

環境を変えるというのもありだと思う

あとは異動ですね。

弊社の場合は、上司との折り合いが良くない人はすぐ異動させます。

異動して上司との関係性がよくなって、イキイキしだす人もいます。

誰の下でも上手くいかない人もいますが、それは、「私に優しくない会社が悪い」と言って辞めていく人もいますし、「誰の下でも上手くいかないのは、自分が問題なのではないか」と気づく人もいます。

 

「異動ですか・・・でもそれって、異動させられた方の上司も大変じゃないですか?」

 

本当に相性の問題だけの場合もありますので、異動でガラリと変わることもあります。

私は鈍いので全然知りませんでしたが、以前別の部署から私の下に異動してきた後輩は、前の部署の時に自分以外のメンバーでLINEグループを作って悪口大会が行われていたようで、後から本人に言われました。

でもそんなことを知らずにいたら、「普通の子」なんです。

多少の後ろ向き発言はありましたし、メンタル面は気になっていましたが、別にそこまで気にしていませんでした。

 

「そうか、異動か・・・本人からも打診されていたんですけど、あまり前向きに考えていませんでした」

 

確かに、御社のように昇格と新拠点の立ち上げ以外に異動がない会社だと、異動ってあまり考えられないかもしれませんね。

でも、仕事で接するメンバーを変えるというのも、本人や周りにいい影響を与えることもあるんですよ。

 

「なるほど、 前向きに考えてみます」

 

結構喋ったな。

役に立てたかどうかはわからないけれども、私が持っているモノ全ては出せた気がしました。

 

 

これからも増えていく問題だと思う

心のどこかに傷を負い、そのまま大人になってしまう人は、これからも増えていく気がします。

完全になんとなく、ですが。

 

その中で私たちのような先輩や上司として彼ら・彼女らにどのように対峙し、仕事上での育成・戦力化をしていくのか。

そしてそこまで入り込むべきなのか。

 

私の中ではまだ答えは出ていませんでした。

 

 

※こちらの話は脚色をしていますので、実際の話とは異なる部分が多数あります。むしろ相談内容は骨組みしか合っていないくらいのレベルですのでご了承下さい。

 

 

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