こんにちは、ドクダミ淑子です。
私の勤める会社が駅徒歩5分のオフィスビルにいたころ、5年以上前の話です。
そこには、たまに変な来客がありました。
セキュリティが雑で、知ってる人は誰でも侵入できる
そこは、セキュリティがそこまで厳しくなく、夜19時以降は正面玄関からは入れなくなるのですが、裏口から入れるようになっていました。
オートロックにはなっているのですが、閉めてしまうと色々と面倒なので、モノを挟んで常に閉まらない状態にしていました。
つまり、裏口からなら夜遅くまで通行可能。
私のオフィスも施錠はされていないので、誰でも入ろうと思えば入れるような状態。
とにかく、今時のオフィスビルにしては、セキュリティがめちゃくちゃ雑だったということです。
台風の日にやってくる人がいた
そのビルにいた当時は、THEブラック企業でした。
今だったら信じられませんが、台風でもなんでも、仕事が終わらなければ帰ってはいけないと言う方が「当然」。
ですので、18時~22時が再接近というその日は、22時以降に帰ればいいや~という感覚で仕事をしていました。
誰もが帰りたいけれども帰れない、集中力が切れて業務効率が地平線になるような中・・・
ガチャ
「あのぉ・・・ごめんください」
そこには、若い女性がいました。
テンプレのように、営業トークは同じ
その女性はずぶ濡れで、髪の毛からは滴がしたたっていました。
その滴をボタボタとたらしながら、たまたま近くにいた社員に声をかけます。
「あの、私・・・山形から来ました」
なぜこんな日に山形からやって来た?
「カップケーキを売っているんです」
山形はなんの関係が?
「売れ残っちゃって、まだ会社に帰れないんです」
おお、大変だねぇ・・・
「人助けだと思って、買ってくれませんか?」
カップケーキが人助け???山形関係あるの??
まぁとにかく、こんな演出をして、モノを売ってくるのです。
- 田舎から出てきた苦労人
- 雨の中をずぶ濡れになってさらに苦労感倍増
- 残業タイムに小腹を満たすものを売りに行く
- ノルマが残っているので帰れないと泣きつく
- 相手も台風の中残っているブラック企業、同情作戦を誘う
気になるカップケーキのお値段
ところで、そのカップケーキはおいくらなのかというと・・・
3個で1,000円!
高いっ!
しかしオフィスにいるのは5人・・・
2個買ってくれますよね?的な怪しく光る、濡れた長い前髪から覗く濁った目・・・
そう、書き忘れていましたが、この手の販売員は、なぜかよく日焼けをして、髪は染めずにボサボサ、メイクもほとんどせずスッピンなのです。
本気で売れるまで帰らなそうなことを言っていたので、うっかり対応してしまった人が面倒くさそうに千円札を出し、カップケーキ売りの少女は去っていきました。
そしてカップケーキをもらいましたが、パサパサして、口の中の水分を持っていくだけ持っていきました。
労働マルチってやつらしい
このカップケーキ売りは、道端で突然声をかけて野菜を売る人と同じようなジャンルの「労働マルチ」というあくどい会社に搾取される、かわいそうな人のようです。
九州や東北から来た人気のドーナツとかクレープとかワッフルとかが、1個100円とかで売られているのも、似ている気がする。
そんな薄利多売で、遠くまで出てくることでどう採算がとれるのか、まったくわからないからね。
自分も他人も幸せにする仕事をしたいなと思う
今もそのカップケーキ売りの人がいるかは、わかりません。
勤務先は、駅前のキレイなオフィスビルに移転し、カードキーがないと夜には会社に入れなくなりましたから、変な人はもう来ません。
ブラック企業の顧客はブラック企業ならば、私の働く会社は少しはホワイトニングされているのでしょう。
台風のカップケーキ売りを思い出すと、自分もハッピーに仕事をしたいし、周りの人にも「面倒だから買う」って思わせないような仕事がしたいと思います。
わざわざずぶ濡れになって、美味しくないものを高く売るような仕事は、これから先もしないで生きていきたい、私なのでした。
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