こんにちは、ドクダミ淑子です。
なんだかんだで小説に没頭しているのが、幸せなんだろうな・・・なんて感じる今日このごろ。
あれですよ、他の方が「ドラマにハマる」と同じ感じ。
ドラマよりもさらに隙間時間で、(読む速度次第だけど)短時間でぎゅっと体験できるのが、読書の醍醐味だったりする。
・・・ということで、今回読んだのはこの小説。
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浅倉秋成氏の小説は、こちらに引き続き2冊目。
どんな内容なの?
公式サイトによると、こんな内容です。
外回り中の大帝ハウス大善支社営業部長・山縣泰介のもとに、支社長から緊急の電話が入った。
「とにかくすぐ戻れ。絶対に裏口から」
どうやら泰介が「女子大生殺害犯」であるとされて、すでに実名、写真付きでネットに素性が晒され、大炎上しているらしい。
Twitterで犯行を自慢していたようだが、そのアカウントが泰介のものであると誤認されてしまったのだ。
誤解はすぐに解けるだろうと楽観視していたが、当該アカウントは実に巧妙で、見れば見るほど泰介のものとしか思えず、誰一人として言い分を信じてくれない。会社も、友人も、家族でさえも……。ほんの数時間にして日本中の人間が敵になり、誰も彼もに追いかけられ、ともすると殺されそうになる中、泰介は必死の逃亡を続ける。
逃亡をしながら、今までの人生を振り返り、様々な人に出会い、周囲が動き出し・・・と、どんどん話が進んでいく。
ああ、止まらない・・・楽しい!
私を騙してくれ!
前回の本もそうだったんだけど、私はどうやら「騙されるのが好き」なタイプらしい。
見え見えのトリック、犯人予想が見事に的中する、不自然なほど怪しくない登場人物、なぜここに挟まれた?と思う「伏線ですね」っていうエピソード・・・そういうのにがっかりしてしまいすぎて、予想もしなかったどんでん返しがあると「騙してくれてありがとう」みたいな気持ちになる。
今回も、その私のよくわからん「騙されたい欲」が満たされる小説だった。
・・・って何!?
騙されたい欲って?
意味わからん!と思いながら、感想サイトみたいなところへ行って感想を読んでみたら、同じように「ミスリードさせられた!」みたいな歓喜の声があったので、きっと騙されたい欲を持った人は私以外にもたくさんいるのだろう。*1
そしてこの小説は、そういう人にめっちゃ向いている。
「自分は悪くない」
この小説はミステリー小説で、視点が様々な人に入れ替わりながら、主人公の逃亡劇が進んでいくんだけど、前作同様に、裏テーマというか、著者からのメッセージが込められている。
それが「自分は悪くない」。
泰介も、その妻も、初羽馬も、真犯人に翻弄された刑事までもが「自分は悪くない」と言っている。
だいたいの人物は、「自分にも悪いところがあった」と考えを改めるんだけど、ただ1人+真犯人だけが「自分は悪くない」と言い張るのもまた印象的だった。
何があっても自分の立場を守ろうとする、そこから動こうとしないのは、もはや傲慢でもあるのだろうなと思った。
それくらい、「自分は悪くない」というのは、人を蝕んでいくのだなと思った。
そういえばタイトルも『俺ではない炎上』。
この「俺」というのは誰のことなのだろう?と思いながら読んだらさらに楽しめたのかもしれない。
物語はハラハラドキドキ、人間の仄暗い部分を見て考えてしまうシーンもあるんだけど、最後にはスッキリした気分になれるので、ミステリー好きでまだ読んだことがない人はぜひ読んでみて欲しいです。
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*1:余談だけど私は、読み終わってから感想サイトやXで検索するようにしている。ネタバレされるのは大嫌いなので、話題のドラマやバチェラーなんかを見ている時は基本的にSNSはシャットアウトしている。