こんにちは、ドクダミ淑子です。
本日は、ブックオフで出会ったこちらの本の感想を。
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どんな本なの?
公式サイトによると、こんな内容です。
人生はシュプリームなガラクタだ
YouTubeで文学的世界観を作り出している、にゃんたこの初エッセイ!
にゃんたこワールド全開の日常と哲学がここに凝縮。短編ストーリー「沈む熊」、「いつくしみをたたえて」も収録。
「KADOKAWAでありがちなよくわからんネットの有名人が出した本」と言えばそれまでなんだけど、私はとても面白く読めました。
(「文学的世界観」というのは置いておいて。)
・・・なんていうか、日常エッセイっていいよね。
日常エッセイっていいよね
最初のエッセイは、『マクドナルドの残り香が連れてくる朝』ってタイトルで、内容はこんな感じ。
朝起きて、顔を洗って歯を磨く。そういう当たり前のことが当たり前のようにできない日が多々ある。
体が疲れてるとか、頭が疲れてるとか、心が疲れてるとか、
理由は様々だが、とにかくできない。
買っている犬を散歩に連れて行かなければいけないので、とりあえず外には出る。
全身の疲労感を言い訳に自炊を怠り、自分の機嫌をとるためと好物のダブルチーズバーガーにポテトLサイズのセット、おまけにシャカチキレッドペッパーをたいらげた昨晩に蓄積されたカロリー・ダメージが足にズンズンくる。
そんな飼い主の事情は露知らずといった顔で、お尻をふりふりしながら散歩にいそしむ犬。犬に引きずられながら爽やかな陽の出る朝の風を浴びるが、分泌され続ける私の顔の脂は心なしかマクドナルドの香りがする。
わかる、わかる~!ってなる文章。
私は夜にマクドナルドをたらふく食うというのは今後の人生でほぼ無いと思うし、今までの人生でもないんだけれども(マックは昼だろ派のため)、体験したことがないのに、マクドナルドをたらふく食う光景がありありと浮かび、そして心なしかおでこと小鼻がギトギトする。
そんな感じで、この本は、私がこれまでもこの先も体験しないだろうことが書かれているけれども(歌舞伎町で放尿とか)、でも他人事ではなく読んでいて「リアル」を感じる。
その感じが、なんとも心地よい。
人生とは、シュープリームなガラクタだ
私は今、「40歳を迎える人生をどう生きるか」的なビジネス書(?)みたいなものを読んでいるんだけれども、そんなものよりもこういう本の方が、しっくり来る気がする。
「戦略」だの「戦術」だの言って人生の舵取りがうんたらかんたらで・・・というよりも、ガラクタみたいな日常を生き続けることこそが人生なのではないか?と思ってしまう。
いやもちろん、より良く生きるために策を張り巡らすというのも必要なんだけどね。
ただ、そうやって「自分の人生を自分でコントロールして云々」というよりも、「流されて流されて、ここまで来ました」みたいな方が、性に合っているんだろうなと思う。
・・・ということを、この、本を手に取るまで知らなかった人のエッセイを読みながら思った。
とはいえ、この方の人生にもターニングポイントというものはあって、それがタイトルにもなっている「豚の角煮」みたいな話なのだ。
一見どうでもいいような出来事に、実は人生を劇的に変えるようなものが潜んでいる・・・というのがよくわかるエピソードだった。
豚の角煮。
私の圧力鍋調理の定番レシピだったな。
加圧時間が20分と少々長めなのと、脂身がたくさんなので最近は作っていなかったけれども、800グラムくらいの豚バラブロックを仕入れて、市販のタレでよく作っていた。
久しぶりに作ってもいいかもな、豚の角煮・・・なんて思った1冊だった。
そうやって、私の人生は、誰かの言葉で動いていくのだ。
「人生」なんて言葉はどこからどう考えても、大袈裟過ぎるんだけどね。
豚の角煮を作る人生・・・ふふふ。
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