こんにちは、ドクダミ淑子です。
私は人材系の仕事をしているのですが、時々、クライアントからこう言われることがあります。
「幹部候補生を採用したい」と。
幹部候補生ってなんやねん
言いたいことは、わかる。
「幹部候補生」=将来幹部になれるような素質とやる気を持った人物、ってことでしょう。
指示をされれば動く、逆を言えば指示をされなければ動かないのではなく、自分から考えて、行動できる人。
受け身で仕事を教えてもらおうと思うのではなく、自分から仕事を覚えようという姿勢で来てくれる人。
腰かけ的な感じで会社に居座るとか、逆に踏み台にしてやろうとかというわけではなく、その会社を動かす中心人物になってくれるような人。
・・・うん、イメージしている姿は理解できるんだけどね。
だけどもだっけーど!
それでも、やっぱり、そのイメージで、採用しようと考えることって、ちょっと難しい。
最初から「幹部になりたい」って人はむしろ少数派じゃない?
なぜなら、それを募集要項に書いても「幹部候補として応募します!」って来た人が、必ずしもその素質があるとは限らないから。
むしろ、これから入社する会社で、会社のことを知らない状態なのに、突然「俺は(私は)幹部になる!」って意気込んで入ってくる奴って、ちょっと自信過剰だったり、何か勘違いしている人の可能性も高いんじゃないかな・・・と思う。
なんていうか、道場破りみたいな人。
もちろん、採用する側はそういう人を想定しているわけではなく、新入社員として入社後、研修をしながら少しずつ仕事を任せていき、順調に仕事を覚えて、主任になって係長と昇格をして、10年後くらいにはそれなりの役職につき、20年後くらいには経営にも関わって・・・くらいを想定していることが多い。
でもそれを「幹部候補生」と書いてしまうと、採用する側とされる側のギャップがあり過ぎるのだ。
最初から「お荷物社員として一生ぶら下がっていくつもりです」って人もほとんどいなければ、「この会社の幹部になりたいぜ!」みたいな人もほとんどいないだろう、と思うのです。
働いているうちに、自然と「幹部になること」の意欲がわいてくる人もいる
そう思う理由の1つに、私のいる会社の幹部たちのことがあります。
私は入社15年目ですが、入社したての頃に、彼ら現在の幹部たちがどういう姿だったかというと、まさか15年後に幹部になっていると思えないような人もいました。
たとえば、Aさん。
私が入社したての頃のAさんは、「とりあえず数字(売上)さえ行っていれば、寝ていてもいいのがこの仕事の魅力」とおっしゃっていました。
そういう考えの人は当時の会社にはたくさんいて、彼らは早々に売上を確保して、パチンコやら何やらを楽しんでいました。
真面目な私はその姿に違和感を覚えたものの、肝心の売上は彼らの足元にも及ばず、どちらが正しいのだろうか?と悩んだものでした。
そんなAさんは、いつの間にか取締役に就任し、今や「お客様を喜ばせることが、この仕事のやりがいだ」みたいなことをおっしゃっています。
そのセリフが、心の汚い私でも彼の本心だなと感じて、「人は変わるもんだな」としみじみしたものです。
同じく、Bさん。
前職がスーパーブラック企業で、マイルドブラック企業(当時)だった当社に転職して時、「とにかく楽したい」みたいなことばかり言っていました。
でも、働いているうちに仕事の面白さに目覚めてきたようで、そこからどんどん出世の道を歩んでいきました。
彼曰く、「会社に意見をするためには、役職があった方が良いと思った。役職が上がると権限も増えるから、どんどん昇格していきたい」らしい。
そんな2人の過去と現在を見ているから、尚更思うんですよね。
最初から幹部候補生としての自覚を持った人を採用することに、何の意味があるのだろうか?と。
結局、入ってみないとわからない
その人が、将来幹部になる人なのか、それとも期待されて入社したけれどもイマイチ伸び悩むのか・・・なんて、入って働いてみないと分からないもんだなぁ、と思う。
だから、「幹部候補生を採用したい!」と意気込むクライアントには、できるだけ先ほどの話をするようにしている。
すると、話を聞いた相手も「そうだよね、自分も入社したての頃はこんな風になるとは思わなかったわ」と言って来たりすることが多い。
むしろ、そういう返事じゃないことの方がレアケースだと思うわ。
結局のところ、入ってみないと、わからない。
だから無駄にハードルを上げる「幹部候補」の一言は、出来るだけ外した方がいいと思うんですよね。
こちらもどうぞ