こんにちは、ドクダミ淑子です。
私は人材系の仕事をしていて、色々な企業の採用担当者や経営者にあれやこれやとアドバイス的な、もっとかっこよく言うとコンサルティング的なことをしています。
そんな中、若手社員を採用担当として抜擢・登用するのはいかがなものか?と思うことがあります。
採用担当=若手というトレンド
私は個人的に「いかがなものか?」と思うのですが、現在の人事業界のトレンドとしては「若手採用には若い採用担当をつけようぜ」になっているんですよね。
おじさんの人事よりも、親近感がわき、お互いの考え方が近く、共感しやすい・・・と考えると、同年代を採用担当に抜擢して、新卒入社を目指す学生さんや「第二新卒」での転職を考える20代の対応をさせた方が、企業としての印象が良くなる。
これは(たぶん)間違いない。
私も、人事一筋何十年みたいなおじさん社員さんだけの会社には「若い子を入れて、セットで動くといいですよ」とかアドバイスをしたりもする。
賑やかしのための若手
そうやって若手を採用担当に加えているところは、確かに雰囲気もよく、若手から話を聞けたりしているところが多い気がします。
でも、それにもデメリットがあります。
若手社員をただの賑やかし要員として使うだけにしてしまうと、昨今の採用活動では重要な仕事になっている「内定承諾してもらうためにアクションする」という仕事ができなかったりもする。
それは、営業に近いお仕事
そうなんですよ、最近の採用活動は売り手市場、というか、「どこの企業も欲しがる人材」と「どこの企業も欲しがらない人材」の二極化が進んでおり、前者にいかに自社に決めてもらうか、というのが重要になってきているのです。
(後者の良いところを引き出すとか、上手くマッチングさせていくとかは、また別問題ね。)
それは、どちらかというと営業に近いお仕事。
どの会社に入社しようか悩んでいる学生や転職希望者(顧客)に対して、自社の強みを伝えると共に、顧客がそれを選んだらどんな未来になるかを思い描かせる・・・というものなのです。
それを、突然入社1年目にさせようって言っても、なかなか上手くはいかないでしょう。
極端に言うと、「自社の強み?入社したてだし新卒だから他社のこともよくわからないけど、楽しくていい会社だよ、ウェーイ!」となってしまう。
採用のノウハウが蓄積されない
そしてさらに問題なのが、そういう状態が続き、採用の仕事が入社1~2年目に1年くらいやるものになってくること。
先述したような「採用のノウハウ」みたいなものが蓄積されず、とりあえず若手社員が若者とおしゃべりすればOKみたいになっていくと、「採用」という仕事が軽んじられるようになっていく。
本当は奥深い仕事なのにな・・・と私は残念に思う。
そして、そんな入社まもない若手を採用担当として教育する立場の人も大変なのだ。
毎年、違う若手社員を教育して、ある程度の対応スキルを身に付けさせる。
応募者の管理用システムを使ったりもするし、それを毎年教えるのも、地味に面倒臭いだろう。
まぁそんな、管理者側の「手間」はおいておいても、若手社員が採用担当としてキャピキャピ活躍してサクッと去っていく・・・のにはデメリットがたくさんあるのだ。
そこまで若くないとダメなの?
こういう問題に直面している企業の話を聞くと、私は思ってしまう。
「そこまで若くないとダメ?」と。
入社3~5年目くらいで、他の仕事を経験してから人事に抜擢するとか、そういうのでいいんじゃない?と思ってしまう。
中には、他の職種ではいまいち伸び悩んでいたけれども、人事にしたら大活躍って例もあるんですわ。
入社3年目というと、大卒ストレートなら25歳くらい。
そのくらいで異動してもらって、長く働きつつ、ちょっとずつメンバーを入れ換えていく・・・くらいの方がいいんじゃないかな?と個人的には思う。
若さという親近感をわかせる武器も大事なんだけど、人事のお仕事は若さだけじゃなくて、相手の話を聞いたり、こちらの要望を伝えたりと、色々とやることはあるんだよなぁ・・・と、昨今の「とりあえず若い子にやらせよう」みたいな流れを見ると、色々と考えさせられるのです。
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