ドクダミ自由帳

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【本感想】圏外編集者 真面目に仕事に向き合ったら、圏外になった

こんにちは、ドクダミ淑子です。

 

増え続ける、まだ読んでいない本に頭を悩ませながら、でも自分の直感とか「読みたい」っていう気持ちは大事にしたいなと思いながら・・・本を買い続ける日々。

 

先日、電車の時間を待っている5分で、パッと目についたこちらを買ってしまいました。

 

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圏外編集者 (ちくま文庫 つー9-10) [ 都築 響一 ]
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どんな内容なの?

公式サイトによると、こんな内容です。

 

編集に「術」なんてない。

珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。
ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。
人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。

多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、
周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。

編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

 

ざっくり言うと、「編集のコツを教えてください」みたいな質問に対し、「コツなんて知らん、自分の感覚で探せ」「というか、コツとか求めている時点でダメだ」とか、そういう感じの内容。

・・・それが、グサグサと、心に刺さる。

 

あまりにも面白いから、一気に読んでしまいたくなったんだけど、仕事帰りの電車の中で読んで、「ああ、明日も、仕事がしたい!」って思える栄養ドリンクみたいな風にして、ちびちびと読んだ。

 

 

編集という仕事の「本質」とは

執筆当時、60歳近くになっていた彼が、今までの仕事人生を振り返りながら、彼の考える「編集の仕事とは」ということに迫っているんだけど、その中でも印象的だったのは、このフレーズ。

 

 担当編集者とふたりでどこか知らない街に取材に行って、昼飯時になったとする。そこでいきなり携帯で「食べログ」とかチェックする編集者を、僕はぜったい信用しない。他人の意見に従うのではなくて、とにかく自分で選んで、食べてみる。そこで最悪の飯が出てくるかもしれないし、いままで食べたことがないようなおいしいものに出会えるかもしれない。嗅覚を磨く、舌を肥やすって、そういうことだ。

 「食べログ」で事前に調べて店を決める人間か、まずは自分で選んで食べてみる人間なのかで、そのひとの仕事は分かれる気がする。なぜなら「食べログ」は、どんな分野にもあるから。 

 

こういう、ああ、ついつい業務効率化とか時短とかのために、やっちゃうな・・・と思うことを、彼はとことん否定する。

自分の目で見て、自分の足で動いて、自分の耳で聞き、自分の感覚を信じて作る。

・・・忘れてしまいがちな仕事の本質、クリエイティブな職種であればあるほど、これは大切になってくるだろう。

 

彼は編集者の仕事の「本質」が見えている。

でも、その編集の仕事の本質を追い求め続ければ、続けるほど、「圏外」に行ってしまうのだ。

 

その「圏外」っぷりが、なかなか面白い。

 

 

商業誌と同人誌、東京と地方

彼は、出版業界の人間なのに、いや業界の人間だから、出版業界をとことん批判する。

「加齢臭がする」「つまらない」「焼き直し」などなど。

業界の外から、出版物に触れている私も、ちょっと思うことがある「それ」を、彼はバンバン出してくる。

 

そしてその理由が、「どこ」にあるのかは、彼には見えている。

なぜなら、彼は「現場」に足を運ぶからだ。

地方であっても、海外であっても。

 

「食べログ」だけ見ている人間ではないからこそ、見えていることがある。

それは今は「多数派」ではないかもしれないけれども。

 

その流れで、彼はこれからの「カルチャー」について触れている。

東京一極集中で、誰もがJ-POPのヒットチャートを気にしていた時代から、どうなるのか?

 

コロナ禍というのも1つの契機になるだろう。

これからの日本が、世界が、どうやって変わっていくのか・・・なんてことを考えるきっかけになった、面白い1冊でした。

 

 

仕事を本気で見直したい人には、オススメ

「こんな仕事をしていていいのだろうか?」「この仕事の自分の介在価値は?」などと思うことは、あるだろう。

 

そういう自分のモヤモヤと、本気で向き合いたい人には、この本をオススメしたい。

 

逆に、そういう「仕事はテキトーで、それなりに」と思うようにしている(けれども、本当はもう少し仕事に力を注ぎたい)人には危険な一冊だと思う。

この本は、「お前の仕事、それでいいのか?」と問いかけてくるから。

 

 

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