こんにちは、ドクダミ淑子です。
ほとんどの人はご存じない、もしくは忘れてしまっていると思いますが、以前にTwitterで「私に感想を書いてい欲しい本を募集」なんて企画をしたことがあります。
メルカリでポイントがあって、今週中の買い物だと50%オフにもなるので、買って感想を書いてほしい本を教えてください!1000円程度のものだと嬉しいです。本日中にリプライいただいたものから、読んだことがない作家さんのもので、インスピレーションで選びます。相互フォローでない方でも大歓迎です💕
— ドクダミ淑子 (@dokudamiyoshiko) June 12, 2021
この企画で今まで書いた感想文はこちら
今回は、この企画の5冊目、『タネの未来』です。
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どんな内容なの?
公式サイトによると、こんな内容です。
中学生の時、日本各地の伝統野菜の種を残すため、自ら種苗流通会社を立ち上げた著者。高校二年生になった今、起業の経緯やこれからの夢をつづる。タネの重要性や流通の仕組み、種子法についてもよくわかる。
第1章「タネについて考えてみる」、第2章「伝統野菜を守るために」で、まずはタネについての基礎知識をわかりやすく説明し、なぜ「タネを守ることは文化を守り、命を守ることに繋がる」ということや、「伝統野菜を守りたい」という彼の事業理念はどこから来たのか?というかそもそも伝統野菜って何か?などについてを、タネに関する予備知識がない人でも理解できるようになっています。
そこから、第3章の「事業を立ち上げる」という話、そして最後の第4章で著者の原点「タネとの出会い」について綴られています。
この感想文の主題とは少しズレるのですが、私はこの章立てもすごく良いなと思いました。
・・・というのも、この手の本って、どうしても「著者の原点はここだ!幼少期の自分を語ります」みたいなところから始まりがちじゃないですか?
その著者に対して好意的な印象を持っているとしたら、その章立てでグッと引き込まれると思うんだけれども、もしもあまり興味がなかったり穿った眼で見ていると、逆に「この人と私は違うからなぁ・・・」とある種の線引きをしながら読んでしまう。
「スーパー高校生のすごい物語」ではない
私は先ほど「主題とはズレる」と書きましたが、著者ももしかしたら、そういうことを意識していたのかもしれません。
産休・育休中にテレビを見ていると、「天才高校生」とか「最年少で○○をする子供」など、若くして才覚を発揮している子達がたくさん出てきました。
そういう子を見ると、「すごいなぁ」と思うのですが、一方で「私が高校生の時なんてこんなこと考えもしなかった」と過去の自分と比べたりして、なんとなく「私とは違う世界の人なのだ」みたいに結論付けてしまう自分がいます。
「私は決して、さかなクンみたいにはなれないもんなぁ・・・魚のことは魚が好きな人に任せておけばいいや」みたいな感じ。
でも、著者は、その「専門的なことだから専門家に任せておけば」ということに、まさにこの本で警鐘を鳴らしているのです。
私たち、名もなき一市民が、少しでも「タネ」に関心を持つこと。
・・・これこそが、著者がこの本で伝えたいことなのです。
決して「スーパー高校生のすごい物語」ではない。
だから、あえてこの章立てにしたのかもしれないなぁ、と思いました。
「好き」を伸ばすこと
彼は中学3年生で個人事業主として事業を立ち上げる時点で既に、伝統野菜のタネを残すことで社会に貢献(と一言で言ってしまうのは申し訳ない)するということを考えていました。
その若さでそこまでたどり着けるのが素晴らしいなと思うのですが、なぜ、中3でここまでたどり着けたかというと、それよりも前に「タネが好き」という気持ちが芽生え、家庭菜園から畑へ、種苗店を訪ねたり、イベント等で専門家に接したりとその芽を伸ばすことをずっと続けてきたからです。
この本を薦めてくださった方は、読書家の方なのですが、数多くの本の中からこれをオススメしてくれたのは、きっと子どもが生まれたばかり(当時)の私に、子育てに関して考えるきっかけを下さったのではないか?と勝手に思っています。
その意図があったのかなかったのかはわかりませんが、読んでいて「自分がこの子の親だったら」と考えることは、しばしばありました。
月に1回、休日に高速道路を走らせて畑に行き、農作業をしたり、専門書を買ったり、イベントに出て農作物を売ったり、「食」について考えたり(著者は重度の食品アレルギーがあり、小さい頃は野菜・肉・魚以外食べられなかった)・・・とにかく子供の「好き」を尊重して、やりたいことに出来る限り協力して、とやっている。
これは親だけではなく、友人や農業の専門家、専門書店の方、種苗店の方など、多くの大人が関わっていることも大きいなと思う。
「子供にこんなことを言ってもわからないから黙っておこう」を出来るだけなくすこと、それが彼の「タネの専門家ではない、タネについて関心がない人にもわかりやすく書く」というのにも繋がっているのではないだろうか。
うちの子が何に関心を持つか?はまだわからないけれども、こういう本を読むと、子供の「好き」という気持ちを伸ばすこと(というか止めないこと)の大切さをすごく感じるな。
こちらもどうぞ(この本の感想の次にこのリンクを貼るのはとても意地悪いですな)