ドクダミ自由帳

モテない精神を持ち続ける既婚30代女、ドクダミ淑子の毎日

【本感想】 週末の人生 カフェ、はじめます 渡る世間に鬼はなし

こんにちは、ドクダミ淑子です。

 

最近、パッと目についたものをパッと買うというのが書店での買い物スタイルになっています。

いや、書店に関わらず、子どもが生まれてからはササっと買い物をするクセが付いている気がします。

もともとそこまで優柔不断ではなかったけれども、さらに輪をかけて即断即決・・・って感じです。

 

そういう買い物スタイルになると、買い物に行く前に、商品情報や売れ筋を調べておくことや、誰かのオススメを覚えておくことが大事になってきます。

そうやって集めた事前情報+当日売り場でピピっと来たものの中から、即断即決で選ぶ。

そして、買ったものがハズレだったとしても、あまり後悔しないようにしつつ、同じ失敗を繰り返さないように、失敗の原因を探る。

 

さて、そんな中、ある日に買った本は、こちら。

 


 

 

 

どんな本なの?

公式サイトによると、こんな内容です。

 

将来に漠然とした不安を抱え、代わり映えのしない日常には飽きている。そんな、ちょっとお疲れ気味の中高年に手にとってほしい、少し勇気を出して、新しいことにチャレンジする物語。

40半ばの井本正美は、近所に洋風のあしらいのあるかわいい古民家を見つけ、そこを間借りして土日限定のおにぎりカフェを開くことを決意する。家主のムツさんはまさに「おばあちゃんの知恵袋」といった人で、おいしい焼きおにぎりの作り方、100年続くぬか床など、正美の目を輝かせてくれる。独身で特に趣味もない正美だったが、俄然「週末の人生」が変わり始めた――。

『カフェ、はじめます』を文庫化に際して改題。

 

 

「カフェ、やってみた~い」という甘い気持ちで読んでみると

私がなぜこの本にビビッときたかというと、育休ですっかり仕事への情熱とか大人の事情とかが抜けきってボケーっとした頭で、「もう会社員とか無理かも。育休後復帰しないで、その辺のボロい物件でも借りて、カフェ兼仕事場でも作って、人事系のコンサルタント兼カフェオーナー兼ライターとして独立でもしてみようか」なんて激甘かつ生ぬる過ぎる妄想をしていたからかもしれません。

一応断っておきますが、独立してコンサルを始めたら、今の仕事よりもハードになるだろうし、カフェ経営もライター業も片手間でやれるものではないので、そんな舐めたことを本気で言っているわけではありません。

 

そして、この本を読むと、そんな生ぬるい妄想は、打ち砕かれます。

カフェ開業に必要なこと、廃業率の高さ、集客の難しさなどなど・・・しっかり現実が描かれているからです。

 

主人公の正美は、当初は甘く見ていたものの、オープンに向けて準備をする中で、色々な人の助言をしっかり受け止めながら、本気になっていきます。

その過程が、なかなか面白い。

 

 

渡る世間に鬼はなし

渡る世間は鬼ばかり。

先日、脚本家の橋田壽賀子さんが無くなりましたが、 もともとこのドラマのタイトルは「渡る世間に鬼はなし」のパロディだということを、子どもの頃に聞いたことがあります。

今や、「鬼ばかり」の方が有名になってしまっているような気がしますが。

 

この小説には、色々な人が出てきます。

主人公の正美、その友人で同世代独身実家住まいの房子さん、家主のムツさん、ムツさんの娘さんの兼代さんとその息子の雅美さん、ムツさんの土地を狙う不動産屋の仁岡さんと堀さん、近くのスーパーの駐車場のおじさん、工務店の乙幡さん、行政書士の平林さんなど。

 

それぞれがクセがあって、初めはそのクセが強くて取っつきにくい印象の人が多い。

たとえば兼代さんなんて、普段の正美だったら、絶対に話したくないタイプだろうし、逃げ出していたかもしれないくらい圧が強いんですよね。

でも、「かわいいおうち」を残ために、カフェを開業するために、諦めずにぶつかっていき、そうすることで関係性が変わっていく・・・この話ではそんなシーンが沢山ありました。

ムツさんの土地を買い取ろうと営業合戦をする仁岡さんと堀さんなんて、正美からすると「天敵」みたいなものだと思うし、仁岡さんと堀さんもバッチバチのライバルなのに、話が進むとどんどん、それぞれの関係性が変わっていくんですね。

 

それを読んでいて、「渡る世間に鬼はなし」という言葉が思い浮かんできました。

この小説には、嫌な人が、一人もいない。

誰もが、自分の中の正義とかプライドとか、仕事への誇りを持っていて、それがぶつかることで、各々が少しずつ変化していっているんですね。

それが、リアルで、そしてハッピーで、面白かった。

 

 

 

自分の生活と、家族のことを想える本

この小説のラストは、「ああ、薄々気づいていたけれども、やっぱりな・・・」という描写があります。

「悲しいけれども、そういうこと、あるよね」ってなる展開。

それも含めて・・・いい話でした。

 

とても読みやすく、人と人との繋がりが温かく、心地よく感じられる一冊。

そして、自分の生活を、人生を豊かにしたいと思える一冊。

 

誰かの人生を疑似体験できるから、やっぱり小説って面白い。

 

 

こちらもどうぞ 

www.dokudamiyoshiko.com