ドクダミ自由帳

モテない精神を持ち続ける既婚30代女、ドクダミ淑子の毎日

車掌がロボットボイス

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こんにちは、ドクダミ淑子です。

 

最近、気になることがあります。

 

「ご乗車ありがとうございます。この列車は、〇〇線〇〇経由〇〇行きです」

 

このアナウンスをする車掌が、人間なのにロボットボイスなのです。

 

極端に抑揚がなく、極端に音階も音量も安定していて、人間のものとは思えないのです。

 

「ゴジョウシャアリガトウゴザイマス」なのです。

 

 

どうしてロボットになったか妄想してみる

声の主は若そうですので、仮に高卒入社3年目・20歳としましょう。

彼はきっと、電車は別に好きではなく、「なんとなく」「安定していそうだから」「親も賛成してるし」という理由でJRに入社しました。

チャリ通学だったから、電車もほとんど乗らないのにJRに入社したのです。

 

そして、研修で車掌の先輩に同行して、電車の一番後ろに乗った時に、衝撃を受けたのです。

 

「ごぉおじょうしゃぁあ~、ありがとうごぜぇあいましたぁ~あ~」

「んえぇぁ~まもなくぅ~ しゅぅうてぇえええん~っ」

 

え?こいつ、何言ってんの?

日本語?ねぇ日本語なのコレ?

 

・・・俺、これやるの?

 

得意げに、アナウンスをした先輩が、別の生き物のように見えてきました。

彼は混乱して、頭が真っ白になりました。

 

「まぁ、慣れない乗務で緊張したんだろ?新人ははじめはみんなそうだから、あまり気にすんな」

先輩は、ポンと彼の肩を叩きましたが、それは優しさではなく「諦めろ」と言っているように感じました。

 

新人の彼は考えます。

 

あの、中川家みたいな車掌の言い方は、俺には無理だ、ダサすぎる。

でも、どうすればいいか・・・?

 

悩んだ彼は、車掌ではないアナウンスに、ヒントを得ます。

「そうか、こういう風にボカロ風にしてみるのはどうだろうか?」

 

そこから彼は、研究に研究を重ね、来るべき日に備えて練習をしていました。

 

しかし、先輩との同行は続きます。

「そろそろ、アナウンスの練習してみようか。隣で聴いているから安心して、全力でアナウンスしてみよう!」

先輩は彼を気遣ってなのか、優しく微笑みました。

なんでこの人、普段の喋り方は普通なのに、アナウンスするときにになると、あんなふうになるんだろう?彼にはわかりません。

でも、やるしかないようです。

 

「えー次は、○○、○○、お出口は右側です。」

彼は極秘練習中のロボットボイスではなく、普段の喋り方のままを意識して、アナウンスしました。

 

「ん~、まぁ、良いんだけど・・・足りないんだよな」

「何がですか?」

「電車感」

「で、電車感!?」

「ほら、お客さんも車掌のアナウンスを聞いて、『ああ、電車に乗ってるな』って思うだろ。その演出が足りていないような気がするんだよなぁ」

 

演出?

アナウンスを聞いて電車に乗っていることを実感?

電車感?

・・・彼はやっぱり、先輩の言っていることが、さっぱりわかりませんでした。

 

なぜ、ここまで自分と先輩の話が食い違うのだろうか?

彼は、気づきました。

「電車愛だ」と。

 

入社してから気付いたのは、電車が好きで好きで、JRに入ったという人がとても多かったということ。

大卒で就職する人は、JRだけではなくその他の私鉄や第三セクターなど、電車に関わる会社を片っ端から受けて、第一志望のJRに運よく受かって入ってきている人が多いこと。

学生時代に駅ホームでのアルバイトを経験した人が、結構な割合でいるということ。

そのすべてが、電車愛ゆえであるということ。

そして、彼らは自分が体験してきた「電車感」を守り抜こうとする伝統を守る立場だということを!!!

 

しかし彼には、そこまでの電車愛なんてありません。

それどころか、既存の電車感に対して反抗心を持っています。

 

これからの電車のアナウンスは、AIにとって変わられるだろう。

現にかなりのアナウンスは自動音声になっている。

車掌がアナウンスするのは、停車した時とか遅延の時とか、緊急事態の時だけになる。

そうした時、何が求められるかというと、「正確に聞き取れるかどうか」だ。

だからこそ、自動音声に合わせた喋り方、ロボットボイスこそが、聞き取りやすく違和感ないはず!

 

・・・こうして、彼はロボットボイスになったのです。

 

 

まだ、既存の車掌節が主流の私の通勤電車の中で、彼は異彩を放っています。

いつか彼がスタンダードになるのかな?と思いつつ、今日も私は電車に揺られていくのです。

 

 

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