こんにちは、ドクダミ淑子です。
私は大学生の時にファミリーレストラン(ファミレス)でアルバイトをしていました。
なぜファミレスだったのかというと、特に意味はなかったのですが、家から近かった(けれども行く人があまりいなかった)ことと、なんとなくサービス業が良かったのと、夜の時間を空けておきたかったので、朝働きたかったという理由が大きかったと思います。
そのファミレスは、高校生までガリ勉で純粋培養されてきた私に、知らない世界をたくさん教えてくれました。
簡単に言うと、「世の中には、色々な人がいる」ということを、です。
朝6時にファミレスに来る人たち
そのファミレスは24時間営業でした。
私が出勤するのは、朝6時からのシフトです。
モーニングメニューが出る時間帯で、出勤と同時にメニューを置き換えて、6時までの人と引継ぎをします。
朝6時にファミレスにお客様がいるかって?
・・・いるんですよ、それが。
学校の先生
まず、平日は毎日、学校の先生が2人来ていました。
1人が小学校の先生、もう1人が高校の先生。
どちらも、毎日同じ時間にファミレスに来て、同じ席に座り、同じモーニングメニューを頼み、同じ時間に席を立ち、同じ時間に店を出て行きます。
特に店員である私に話しかけることもなく、黙々と朝食をとり、出て行く。
「ルーティン」というものがあるのを知ったのは、この2人からでした。
今もあの店で朝食をとっているのだろうか・・・気になる。
早起きのジイさん2人組
たまに6時に来る人で、ジイさん2人組もいました。
この人たちは、毎朝行くファミレスを変えているようで、週に何度かやってきました。
この人たちは、よく店員である私に絡んできました。
「ドクダミちゃんは、学生なんだよね?どこの大学?」
「コーヒー足りないよ、ちゃんと見てないとダメだよ」
そんな風に、孫のようにお節介な感じで、まぁ温かく見てもらっていたということにしましょう。
仕事上がりのホステスさん
出勤して、喫煙席の方が騒がしいなと思って見てみると、仕事上がりのホステスさんがいることもありました。
彼女たちからすれば、朝の6時に食べるのが夕飯みたいなものですから、モーニングメニューなんて軽いものではなく、「クラブハウスサンド」だの「デミグラスハンバーグ」だのといった、がっつりメニューを注文することもあれば、タワーのようなパフェを注文することもありました。
田舎のホステスさんはどちらかと言うと、濃いお化粧のギャルっぽい方々。
あとは、フィリピンパブのお姉さんも、南米系のクラブで踊り明かした人もいましたね。
気だるそうにタバコをふかしながら、不便そうな長い爪を使って食事をするのは、「夜」の雰囲気を強く感じました。
禁煙席で納豆ご飯に焼き鮭とか、トーストに目玉焼きなどの「朝」を楽しむ人と、喫煙席の「夜」の人たちが混ざり合う、不思議な空間がこのファミレスでした。
「不思議」な人
ここはちょっと言葉を選びながら書くのですが、「不思議な人」もちらほらいました。
家があるのか無いのか、言葉が通じているのか通じていないのか、精神状態は安定しているのかしていないのか・・・
そういう人も、朝のファミレスには結構いるのです。
朝8時にファミレスに来る人たち
さて、そんなファミレスも、8時になると様子が変わってきます。
パソコンと会話する人たち
増えてくるのが、サラリーマン風の人たち。
実はこのファミレス、大きな病院の近くにあります。
ですので、医薬品・医療機器などの営業さんなんだろうなぁという方々が、8時くらいから直行してファミレスに集合しています。
彼らはだいたい、ホットコーヒーかアイスコーヒーを1杯注文し、それもほぼ飲まずにパソコンと向き合います。
多い時には4人で来て、4人ともパソコンカタカタしていることもありました。
更に病院の待ち時間が長すぎる人や、お見舞いに来る前後みたいな方も多く来店していました。
朝6時までファミレスで働く人たち
さて、話は変わって、このファミレスで働く人はどういう人なのかという話をしましょうか。
まず、私が出勤する6時に上がっていく人たちは、「夜勤の時給を魅力に感じる人たち」でした。
フリーターさん(キッチン)とシングルマザーさん(ホール)が主に入って、足りないときは社員が入る・・・みたいな感じでした。
深夜1時~5時の間は、だいたいキッチン1名・ホール1名の体制なので、時々ぐったりとしていましたが、タバコを吸うと元気を取り戻し、たまに仕事のグチを1時間くらい休憩室で吐き出してから、上がってきました。
ファミレスでバイトするようになって思ったのは、タバコを吸う大人って多いんだなということです。
今はどうか知りませんが。
朝6時からファミレスで働く人たち
朝のシフトは、私と60代の女性が入っていました。
この女性は、なんと勤続20年!
入れ替わりの激しい社員と違い、店舗に居座り続けてもはや「ヌシ」になっている人でした。
初めてのアルバイトの私にも、本当に丁寧に教えてくれたし、目の付けどころや効率的な仕事の仕方、「たかがファミレスのホール」なんて言わせない気の利いた接客などなど、様々なことを教えてくれました。
手の抜き方もよくご存じで、私を駒として動かして、自分は裏で休憩していたのも、処世術というものを知った瞬間でした。
朝10時からファミレスで働く人たち
10時になると、幼稚園ママ・保育園ママ・小学生ママなど、ママさんパート層がさわやかに出勤してきます。
彼女らは、10時~13時(または14時)というシフトが多く、ランチタイム前にモーニングの人が少ないときにほったらかしていたことを片付け、ランチピークを切り抜けたらさっさと上がっていく・・・嵐のような時間を毎日繰り返していました。
大体の人は穏やかでさっぱりした女性でしたが、1人だけマウンティングしたがりがいて、当時ピチピチの10代だった私は、大変いじめられました。
夜9時からファミレスで働く人たち
私は主に朝のシフトだったのですが、先述のマウンティングしてくる女性が嫌すぎて、夜のシフトに避難していた時期もありました。
その時、夜の9時から働く人って、こういう人もいるんだと思ったことがありました。
それは、小さなお子さんがいて、昼間は働けない人。
昼間は子育てをして、旦那さんが帰宅してから出勤して、夜の9時から深夜1時までの休憩なし4時間ぶっ続けで働く人です。
こういう働き方もあるんだなと思いましたし、24時間だと、こういう受け入れ方もあるんだなと思った瞬間でした。
ファミレスなのに手間暇かけまくっていた
さて、そんなファミレスですが、私が働いていた当時は、「レストランぶるファミリーレストラン」という感じでした。
- フォーク・ナイフは「お食事の準備をさせていただきます」と言いながら並べる
- ドリンクバーなし。アメリカンコーヒーのポットを持って「おかわりいかがですか?」と回る
- 座席にはピンポンなし。ホールスタッフが「察して」すぐに行けるように神経をとがらせる
さらに、パフェは手作りでホールスタッフが裏に行って作るとか、モーニングの味噌汁はホールスタッフが裏で作るとか、ビールも注いだりと、とにかく手間暇がかかること、やることが膨大でした。
今は、ナイフもフォークも箱の中に入っているし、ドリンクバーもあるしで、進化していて安心しました。
広い眼を持てるようになったのは、ファミレスバイトのおかげ
そんな手間暇かけまくりかつ、人数が少ないのでお会計と料理提供と片付けと注文取りが同時に来るようなことがあっても、うろたえずにうまく回すことを、私はこのバイトの中で学びました。
・・・といっても、はじめの方が本当にそういう「マルチタスク」みたいなのが下手くそで、何度も泣いていたんですけれどもね。
「手ぶらで帰らない!」「1番行ったらなんで3番の人が見ているのに気づかなかったの?」「コーヒーカップが空になっているお客様がいる!」と60代の先輩にしごかれて、少しずつ落ち着いて、見まわせるようになりました。
バイトの選び方?テキトーでいいよ
そんな私なので、もしもどういうバイトをしようかと悩んでいる若者がいれば、こう言うと思います。
「テキトーでいいから、とりあえずなんかやってみるといいよ」
「私がここでバイトをする10の理由」なんて難しいことを考えることはない。
しいて言うなら、「自分の知らない世界を知れるバイトがいいんじゃない?」くらい。
「バイトは時間を切り売りする行為だから、やめた方がいい」という人は、たぶん何も考えずにボーッと立ってる時間が長すぎるだけで、バイトが合ってないか、あなたが何も考えてないだけ。
今までにしていないことをするなら、それには必ず発見はある。
いい発見だけじゃないかもしれないけどね。
そう考えると、バイトって楽しいと思うんだけどなぁ。
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